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遊牧のくらしとテキスタイル―バローチを中心に―

  • 『サドルバッグ焦茶地幾何文様バローチ 20世紀前半』の画像

    サドルバッグ焦茶地幾何文様
    バローチ 20世紀前半

    東洋館 13室
    2024年11月12日(火) ~ 2025年2月16日(日)

    遊牧民は、家畜とともに水や牧草を求めて定住と移動を繰り返す生活をおくる人々です。山羊や羊の毛を使って製作された敷物や袋物には、遊牧生活を快適に過ごす工夫が詰まっています。本特集で取り上げるバローチは、パキスタン、アフガニスタン、イランにまたがるバローチスターンを中心に暮らす、イラン語派のバローチー語を話す人々です。一口にバローチといっても、夏には涼しい地域、冬には暖かい地域へと移動して暮らす人々から、農耕に従事する人々など、生活様式は一様ではありません。しかし、牧畜はどのバローチにとっても等しく生活を支える大きな営みであり、1979年には約6割の人々が遊牧生活を送っていたといわれます。親族を中心とした小さなグループで生活をおくり、遊牧の際には山羊、羊、ラクダ、ロバとともに移動します。移動時には、 袋物に塩や皿などの生活用品を詰めて家畜に載せ、短期間その場にとどまるキャンプ時には、枝を組み黒い毛織物をかけたギダーンと呼ばれる簡素なテントに敷物を敷き、装飾布を掛けます。

    本特集では、バローチの暮らしに着目し、織技法や文様の特徴とともに、テキスタイルと生活とのかかわりについてご紹介します。作品を収集した松島きよえ氏が撮影した、20世紀後半のバローチの生活風景や、現地に広がる景色の写真にもご注目ください。

     

    担当研究員の一言

    シックな色遣いと織り表わされた細かな幾何学文様が美しい、バローチのラグや袋物。野外で組み立てられた織機を用い、ひとつひとつ手織りされたラグは、遊牧民の生活に寄りそってきたのでしょう。本特集ではバローチのくらしを写した写真とともに、作品を展示いたします。生活を支えたラグのあたたかみや、用いられた技法の妙をお楽しみいただければ幸いです。/沼沢ゆかり

主な出品作品

(注)所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。

敷物 赤茶地段星幾何文様 バローチ 20世紀前半

サドルバッグ 焦茶地幾何文様 バローチ 20世紀前半

装飾布 焦茶地段花菱幾何文様 ブラーフイー 20世紀前半

 

パンフレット

遊牧のくらしとテキスタイル―バローチを中心に― リーフレットの表紙画像

遊牧のくらしとテキスタイル―バローチを中心に―

会期中、東洋館インフォメーションにて配布しています。
(注)なくなり次第、配布は終了します。
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