東洋館 8室
2022年9月21日(水) ~ 2022年11月13日(日)
秋の恒例企画である中国書画の名品展を今年も開催します。日中国交正常化50 周年・東京国立博物館創立150 周年の本年は、当館が所蔵・管理する中国書画コレクションのなかから、日本で特に愛されてきた、北宋・南宋時代(960 ~ 1127、1127 ~1279)の作品に焦点をあてます。
室町時代以前に日本に渡ってきたと考えられる、「古渡(こわたり)」の宋代書画は、高邁(こうまい)な人格と深遠な学識に裏打ちされた禅僧の書画、高い技術力に支えられた優美な宮廷絵画、貿易港である寧波で人気を博した仏教絵画などが中心でした。これらを通じて日本で育まれた宋代への憧れは、その後、近代になって大陸からもたらされた「新渡」の作品によって、より強固なものとなりました。「新渡(しんわたり)」の宋代書画には、本場中国で正統と評価され秘蔵されてきた、文人士大夫(しんたいふ)の真筆や代表作が多く含まれます。
また、研ぎ澄まされた美意識に支えられた、完成度の高い宋代書画は、中国書画の歴史における頂点のひとつとして、後世に大きな影響を与えました。本展示では、宋代書画とともに、それらを学んで作られた元・明・清時代の作品もご紹介します。
日本で大切に伝えられてきた宋代書画が織りなす豊饒な美の世界と、時空を越えたその広がりをご堪能下さい。