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未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―

  • 『春日宮曼荼羅 鎌倉時代・13世紀』の画像

    春日宮曼荼羅 鎌倉時代・13世紀

    本館 2室
    2022年6月7日(火) ~ 2022年7月3日(日)

    東京国立博物館は、令和4年(2022)に創立150年を迎えました。この150年の歴史のなかで収集された文化財のなかには、国指定の国宝や重要文化財となっていなくとも素晴らしい作品が数多く収蔵されています。
    「150年後、もしくはその先の未来、この国宝室にはどのような作品が展示されているのだろう」。
    こういった問いかけから、今年度は「未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―」というテーマで展示を行なうことにしました。私たち研究員が選び抜いたイチ押しの作品を「未来の国宝」と銘打って、年間を通じてご紹介していくという試みです。
    数万件に及ぶ絵画、書跡、歴史資料のなかから選び抜いた、東京国立博物館コレクションの「逸品」をどうぞご堪能下さい。

     

    年間の展示予定

     

     

    春日宮曼荼羅
    鎌倉時代・13世紀

     

    奈良・春日大社の風景を描いた作品です。春日大社は藤原氏の氏神として貴族たちの篤い尊崇(そんすう)を受けてきました。こうした信仰を背景に、春日の景観を描く本図のような作品が数多く作られました。

    画面は下から上に向かって見ていく構造をとります。画面下部の二之鳥居(にのとりい)をくぐり、金色の参道を進むと、左手に見えるのが春日の神々を祀る4つの本社(ほんしゃ)で、その右手には若宮社(わかみやしゃ)が配されています。さらにその上部には、神域(しんいき)である御蓋山(みかさやま)、その奥に春日山(かすがやま)、左手には若草山(わかくさやま)が見えます。こうした景観は、今でも奈良の地で目にすることができます。画面は細部まで緻密な表現で、ところどころに春日の神使(しんし)である鹿も遊びます。樹木が青々と茂り、満開の桜が描かれるこの美しい景観は、神の宿る地の神々しさを見事に表現しています。

    美しい景色を見たとき、あるいは美しい作品を前にしたとき、大きく心が揺さぶられる瞬間があります。この春日宮曼荼羅を見た往時の人びとも、美しく描かれた画面に心動かされ、春日の神々への尊崇の念を新たにしたことでしょう。

     

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
春日宮曼荼羅 鎌倉時代・13世紀