東洋館 8室
2021年10月19日(火) ~ 2021年12月5日(日)
毎年秋の恒例となりました中国の書跡・絵画の名品展「中国書画精華」、今年は仏教文化の中で生み出された書画に注目します。
インド発祥の仏教が中国に伝来した時期は、一説に前漢時代の末、西暦の紀元前後の頃と言われます。仏教は、中国に固有する儒教や道教などの様々な思想と相互に影響しながら発展し、儒仏道の三教の一つとして中国社会に浸透していきました。国家の政策・制度に取り込まれ、各宗派の派生をともないながら、文化や芸術など諸方面に影響を与えていったのです。
仏教に関係する書画には、漢訳仏典を書写した写経、仏像の造作経緯を刻した造像記、菩薩や羅漢などの尊像を描いた仏画、禅宗の教義や精神を書画に表した墨跡・禅画などがあります。これらにみられる、信仰心に基づく緻密な表現や卓越した精神性は、観る者の眼を奪います。また、宋・元時代の墨跡・禅画は、古くから日本に伝来し、信仰にとどまらず、茶の湯の世界でも珍重され、大切に鑑賞されてきました。これらの中には現代の中国では稀少になった禅僧・書画家の作品も伝わっています。
仏教文化の中で紡ぎ出された、気高く優れた中国書画の世界をご堪能いただければ幸いです。