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中国近代の上海―海上派の書・画・印―

  • 『九老図軸(部分) 任頤筆 中国 清時代・光緒9年(1883) 林宗毅氏寄贈』の画像

    九老図軸(部分) 任頤筆 中国 清時代・光緒9年(1883) 林宗毅氏寄贈

    東洋館 8室
    2020年11月17日(火) ~ 2020年12月23日(水)

    中国の近代は、何にも増して激動の時代でした。アヘン戦争(1840~42)以降、太平天国(たいへいてんごく)の乱(1851~64)や列強との戦争などを経て、辛亥(しんがい)革命(1911)によって1912年に中華民国が成立し、宣統帝(せんとうてい)が退位して清朝は滅亡に至ります。

    特に上海(しゃんはい)では、アヘン戦争後の南京条約(1842)を機に開港し、イギリス、アメリカ、フランスが居留地である租界(そかい)を設け、近代化と西洋文明の流入が急速に進みます。商工業の発展に支えられ、上海は清時代末期に中国随一の大都市となりました。かつて繁栄を誇った南京(なんきん)や蘇州(そしゅう)、揚州(ようしゅう)といった都市から、富裕層は上海に移り、上海には富が集中しました。多くの芸術家もこぞって上海に集まり、美術社団や美術学校が設立され、文化芸術の中心地となりました。

    港町の上海は、木製の漁具である滬(こ)や海上などとも呼ばれ、当時の上海で活動した芸術家たちは、海上派(かいじょうは)や海派(かいは)と称され、個性的な作品を生み出します。清時代の伝統的な金石趣味をもとに展開された作や、平明な題材を大胆な技法で表現した作など、海上派の書・画・印は、明治から昭和の日本の文化人も熱い眼差しを向けました。激動の時代に育まれた海上派の多様で清新な芸術をご堪能いただければ幸いです。
     

     

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
行書七言古詩四屛 趙之謙筆 中国 清時代・光緒9年(1883) 高島菊次郎氏寄贈
楷書八言聯 翁同龢筆 中国 清時代・19世紀 林宗毅氏寄贈
葡萄図軸 呉昌碩筆 中国 清時代・光緒28年(1902) 高島菊次郎氏寄贈
富貴寿孝図軸 王震筆 中国 中華民国13年(1924) 林宗毅氏寄贈
長卓・書箪笥 中国 清時代・19世紀