本館 14室
2020年8月25日(火) ~ 2020年10月4日(日)
安土桃山時代以降、能狂いと言われるほど能を好んだ豊臣秀吉をはじめ、多くの大名家が盛んに能を催したため、能面の需要は飛躍的に増え、能面制作を世襲で行う家が現れました。東京国立博物館にはそのうち越前出目家(えちぜんでめけ)、大野出目家(おおのでめけ)の面打(めんうち)(能面作家)による面(おもて)が多く所蔵されています。
越前出目家の初代満照(みつてる)は室町時代後期、大野出目家初代是閑(ぜかん)は安土桃山時代以降の活躍が知られます。17世紀、越前出目家4代満永(みつなが)の弟子だった満喬(みつたか)(洞白(とうはく))が後継者を探していた大野出目家に入りました。大野出目家はその後も名手を輩出し、順調に幕府の御用を勤め、大名家の求めに応じていたのに対し、越前出目家は満永の後、相続でもめ、幕府の御用からはずれるなど次第に劣勢になります。
面打に関する重要な資料とされてきた喜多古能(きたふるよし)の『仮面譜(かめんふ)』の記述には誤りが多いことが最近の研究でわかってきました。本特集では実際の作品から両家の歴史をたどります。