国宝 普賢菩薩像(部分)
平安時代・12世紀
鳥取・豊乗寺蔵
本館 2室
2023年6月6日(火) ~ 2023年7月2日(日)
六本の牙を持つ白象に乗り、合掌する普賢菩薩像です。見所は何といっても華やかで繊細な美しさです。宝冠や装身具(そうしんぐ)に使われた金箔、光背や着衣、蓮台、象の鞍をはじめ、随所に用いられた截金(きりかね、金箔を細かく切って文様を表したもの)は、当時の輝きを今に伝えてくれます。菩薩の肌も当初は黄味のある肌色で、金色に輝くその姿は、中国・唐代の仏教書『弘賛法華伝(ぐさんほっけでん)』に引用された説話に登場する普賢菩薩のイメージを描いています。一方、象の頭頂に描かれた宝珠には銀箔が使われるほか、光背の下地には銀泥(ぎんでい)が用いられ、このような銀色の使われ方は本図の特徴です。
普賢菩薩には『法華経』を信仰する人々の前に現れ、守護する役割があります。画面向かって右から左に向かって歩むのは、仏画では右側が東を表すため、普賢菩薩が東方にある浄妙国土(じょうみょうこくど)から来たことを意味します。
平安時代、『法華経』は貴族たちに盛んに信仰されました。繊細優美な本図には、彼らの祈りと美意識が反映されています。細やかで多様な截金文様は素晴らしい出来栄えで、現存する平安仏画の代表作の一つです。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 普賢菩薩像 | 1幀 | 平安時代・12世紀 | 鳥取・豊乗寺蔵 |