国宝 普賢菩薩像(部分) 平安時代・12世紀 鳥取・豊乗寺蔵
本館 2室
2020年10月6日(火) ~ 2020年11月1日(日)
この画像の主題となっている普賢菩薩は、『法華経(ほけきょう)』や『華厳経(けごんきょう)』という仏教の経典(仏の教えをまとめたもの)に登場します。菩薩とは、仏になるために、全ての人々を救済することを願い、誓(ちか)って、自分も修行に励む者のことです。
『法華経』は全ての命あるものがその身のまま成仏することを説く経典です。その信仰者を守ることを普賢菩薩は誓っているため、法華経信仰に伴い、普賢菩薩への信仰もなされ、彫像や画像が多く制作されました。特に宮廷の女性から篤(あつ)い信仰が寄せられた平安時代後期には、彼女達の感覚の反映もあってか、優美な造形を示す像が多く制作されたようです。
本図で菩薩が画面向かって左に向いているのは、この菩薩の住所である東方の浄妙国土(じょうみょうこくど)から信仰者の前にやってきたことを表します。量感豊かに描かれた菩薩は、光背や着衣の文様などの細かな截金(きりかね)や、冠や装身具にみる金箔の上に彩色を施したもの、光背の下地に用いられた銀泥(ぎんでい)など、様々な輝きの表現で飾られています。肉体の肌色とあわせ、全身が黄金色に輝くかのようです。『法華経』に説かれる白玉のような白さを追及した当館所蔵の普賢菩薩像(国宝)と対極をなすような美しさの表現が注目されます。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 普賢菩薩像 | 1幀 | 平安時代・12世紀 | 鳥取・豊乗寺蔵 |