このページの本文へ移動

1089ブログ

子どものためのギャラリートーク「仁王像をみてみよう」

東京国立博物館(以下、トーハク)では、毎年7月に子ども(0歳~中学生対象)向けのイベント「トーハク・キッズデー」を開催しています。
今年は7月24日(金)と25日(土)に開催し、大勢のお客さまにご来場いただきました。今年度は毎月第4日曜日に「プチ・キッズデー」も開催しておりますので、キッズデーを見逃した方、リピートされたい方はぜひ足をお運びください。

彫刻担当の研究員であるわたしも、仏像をテーマにしたギャラリートークを行ないました。
仏像というと、子どもたちにはあまりなじみがないかもしれません。ぜひこの機会に仏像に親しんでほしい!と思って選んだのは、本館1室でお客さまをお迎えしている仁王像です。
 
本館1室に展示されている金剛力士立像(通称、仁王像)右から阿形、吽形 平安時代・12世紀 通年展示
 
最初に「仏像って知ってますか?」と聞くと、「ハイ!」と威勢よく手があがります。では、「仁王さまを見たことあるひと?」と続けると、さすがにちょっと減りますね。ただ、それなりの大きさのお寺に門があれば、そこに仁王像が安置されていることは珍しくありません。しかも、お堂のなかを拝観できるとは限りませんが、門が通れないお寺はまずありませんので、仁王像は仏像入門にうってつけです。
 
まずはじっくり見てほしいので、ポーズをマネしてもらいます。右足をちょっと前に出して、左手は振り上げて…、ちゃんとやろうと思うとなかなかたいへんです。
 
仁王像のポーズをマネしている様子
 
でも、左手のマネをしているうちに、みんな「手になにか持ってる!」と気づいてくれました。金剛杵(ヴァジュラ)と呼ばれる武器です。さらに、どんな服装でしょうか?「はだか!」「マッチョ!」と自由なコメントが飛び交います。武器を持っていて、筋骨隆々であることに注目できれば、もう仁王像のヒミツはわかったも同然です。
 
ここまでは、口を開けている阿行(あぎょう)だけ見てもらっていましたが、左側にあるもう1体の仁王にも注目しましょう。表情を見比べると、みんな「どっちも怖い」「怒ってる!」と言いつつ、「あ、口を閉じてる!」と、阿吽(あうん)の違いにも気づいてくれました。もともと仁王はブッダのボディガードだった金剛力士(ヴァジュラパーニ。金剛杵を持つ者という意味で、執金剛神【しゅこんごうじん】とも)がモデルです。インドではブッダのそばに1体あらわされていましたが、仏教が中国から日本まで伝わってくる間に、金剛力士は2体あらわされるようになり、口の開閉で区別するようになりました。阿吽の違いが出るのは獅子や狛犬も同じなので、みんなきっと神社でも見てくれるはず。
 
門に置かれた怖い顔の仁王像は、まさにお寺のボディガード、ガードマンです。持物や服装も、すべてその仁王像の役割を明らかに示している訳ですね。
 

子どもたちの真剣なまなざしを受けて、解説にも熱が入ります
 
最後に、なぜお寺の門にあるはずの仁王像が博物館にあるのでしょうか?
もともと滋賀のお寺にありましたが、台風で仁王門が倒壊し、仁王像もバラバラになってしまったところ、地域の人たちが部品をすべて大切に保管していたおかげで、立派に修理できたのです。縁あって当館へお迎えした仁王像ですが、仏像をはじめとする文化財は大切に保管し、定期的に修理しなければ維持できないことに触れて、ギャラリートークは終了です。15分では語りきれない、もりだくさんの内容ですが、何かひとつでも記憶に残ってくれたら担当者としては本望です。
 
仁王像についての詳しい説明は、こちらのリーフレットもぜひご覧ください(配布は終了しています)。貴重な修理写真も掲載しています。また、わかりやすい解説動画もあります。
 
 
仁王像は、トーハクの彫刻を代表して、いつでも本館1室でみなさまをお待ちしております。
 

カテゴリ:研究員のイチオシ

| 記事URL |

posted by 西木政統(子どもファースト推進チーム主任研究員) at 2026年08月12日 (水)

 

1