本館 12室
2010年7月6日(火) ~ 2010年9月12日(日)
今回展示の二体の大日如来像は、作風、構造、像内納入品の種類と納入方法等に共通するところが多く、ともに鎌倉時代初頭の仏師、運慶(うんけい)の作と推 測されています。光得寺(こうとくじ)像の台座(獅子四体を含む)、光背、厨子とその内部に付された三十七体の雲に乗る小さな仏の群像も同時期のもので す。真如苑(しんにょえん)像も同じように飾られていたのでしょう。両像ともに小さな像ですが、正面だけでなく、側面、背面のどの角度から見ても姿勢、か らだの肉付きがみごとです。日本美術史上最高の彫刻家の一人である運慶の力量が示されています。
運慶とともに東大寺の仁王像を造った快慶(かいけい)は、運慶と作風が異なり、すっきりとした端整な姿に特徴があります。運慶、快慶 という偉大な作家を生んだ慶派(仏師の集団のひとつ。名前に「慶」のつく仏師が多いので慶派と呼ぶ)は、鎌倉時代に写実的で迫力のある作風を創造し、高く 評価されました。十二神将像の力強さ、動きの表現に注目してください。
獅子に乗る文殊菩薩と四人の侍者像、小さな四天王眷属(けんぞく)像も展示しています(本館11室、2010年7月6日(火)~9月12日(日))。その作者康円は慶派仏師の一人で、運慶の孫にあたります。あわせてご覧ください。