平成館 企画展示室
2007年7月10日(火) ~ 2007年10月28日(日)
板碑は、五輪塔(ごりんとう)・宝篋印塔(ほうきょういんとう)とともに中世に盛んに作られた供養塔で、中世の歴史や社会を研究する上で重要な資料の一つです。板碑は北海道から九州まで分布しますが、特に埼玉県を中心とした関東に多くみられます。東京国立博物館にも、178件の板碑が収蔵されていますが、宮城県出土の3件を除いて、他は関東の出土品です。関東の板碑は、緑泥片岩製(りょくでいへんがんせい)で、頂部を三角形につくり、その下部に2条の溝を彫り、身部には、主尊として阿弥陀如来や阿弥陀三尊を表す梵字種子と年号を彫ったものが多くみられます。なかには梵字種子のかわりに図像を描いたもの、「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」の文字を刻んだものなどもあります。
板碑は、鎌倉時代は地方豪族や僧侶によって立てられましたが、南北朝・室町時代には庶民層による造立も盛んになりました。中世に全国的に作られた板碑は、近世には廃れてしまいます。その起源や消滅に関しては議論が絶えません。
今回は、当館所蔵品のうち、板碑43枚と台石2個を展示しました。板碑をまとめて展示する機会はなかなかありませんので、この機会にぜひご覧ください。