平成館 企画展示室
2006年5月9日(火) ~ 2006年6月18日(日)
東京国立博物館は多くの仮面を所蔵していますが、高野山の鎮守である天野社(あまのしゃ)[丹生都比売(にう つひめ)神社。和歌山県かつらぎ町所在]に伝来した中世の行道面(ぎょうどうめん)・舞楽面(ぶがくめん)などの仮面群は、その中核をなすものです。これらは天野社で一切経会(いっさいきょうえ)に際して行われた舞楽四箇法要に用いられました。
行道面は一切経を乗せた輿(こし)をひく者(輿かき)がつけた仮面で、形態や面裏の補筆銘からそれが二十八部衆をかたどったものとわかります。二十八部衆の面は他に現存例が知られません。舞楽面中には散失したものもありますが、陵王(りょうおう)、納曾利(なそり)など8種15面が現存し、演じられた舞楽がかなりの規模であったことが知られます。その他に、鎌倉末期の年紀のある追儺面(ついなめん:鬼追いの面)があります。
この特集では天野社伝来の仮面を中心に舞楽面・行道面を概観し、また関連する装束も併せて展示します。