平成館 考古展示室
2014年3月11日(火) ~ 2014年9月7日(日)
古墳時代の土器には、弥生土器と同じく野焼きの土師器(はじき、~平安時代)と窖窯(あながま)焼成の須恵器があります。いずれも平安時代の土器の名称を用いた用語です。土師器は約850°の酸化焔(えん)のために赤褐色ですが、須恵器は1000°以上の還元焔(えん)のために堅く、暗青灰・暗灰白色です。須恵器は中国の灰陶を源流とした朝鮮半島陶質土器のロクロ技術と窖窯技術が、4世紀末頃以降に伝えられて製作されたものです。主な器種は火に弱いために煮沸用以外で、貯蔵用の甕(かめ)・壺・提瓶(ていへい)などや食器・共献用の坏・高坏(たかつき)・はそう・器台・脚付壺のほか、多様な装飾を加えた装飾付須恵器などが発達しました。また、鳥形瓶・家形はそうなどの特殊な器種も製作されました。
5世紀に大阪平野南部に平安時代まで続く1000基以上の窖窯が拠点的生産地として営まれ、6世紀以降は、北部九州、中国、東海をはじめとする各地に生産地が成立して普及し、古墳副葬品として葬送用の多様な器種も成立しました。
今回の特集では、主要な須恵器生産地の一つである、吉備地方を取り上げ、装飾付須恵器に代表される、特徴的な須恵器を展示いたします。