平成館 企画展示室
2011年9月13日(火) ~ 2011年11月6日(日)
清時代の末から民国の初めにかけて、書・画・印に妙腕をふるった呉昌碩(ごしょうせき、1844~1927)は、清王朝300年の掉尾(ちょうび)を飾る巨匠です。
17歳の時、太平天国の乱によって一家離散の憂き目にあい、呉昌碩は悲惨な避難生活を強いられます。22歳で科挙(かきょ)を受験する資格を得ますが、呉昌碩は栄達を望まず、小官に甘んじながら印学の研鑽を積み、さらに書画の才能を開花させました。56歳で、安東県(現在の江蘇省漣水県)の知事となるものの、腐敗した官界に耐えられず、1か月で辞職。その頃すでに芸苑で盛名を馳せていた呉昌碩は、書画篆刻で生計を立て、84歳で没するまで旺盛な創作を展開しました。
呉昌碩は、生涯にわたって石鼓文(せっこぶん)の臨書に励み、その風韻を書・画・印に結実させました。不器用なまでの重厚な作風の中にも、キラリと光る輝きを持った呉昌碩の作品は、多くの人々を魅了し、日本にも熱烈な愛好者がいます。
また、呉昌碩は日本の文化人や芸術家との交流も深く、日本に現存する呉昌碩の作品や手紙などから、その一端を窺うことができます。
今回で9回目となる東京国立博物館と台東区立書道博物館の連携企画では、両館の所蔵品以外にも、京都国立博物館・台東区立朝倉彫塑館・個人コレクションから、呉昌碩作品及びその関係資料を公開します。自らの方向を模索していた40代から、円熟した境地を示す最晩年までの作風の変遷を概観するとともに、日本人との交流を示す貴重な資料も紹介いたします。
在世中から内外で高い評価を博した呉昌碩の魅力を、どうぞお楽しみください。
同時開催:台東区立書道博物館「呉昌碩の書・画・印」(2011年9月13日(火)~11月6日(日))