本日23日、「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」がついに開幕しました。

本展覧会会場の表慶館(重要文化財)。22日の報道内覧会は大雪に…
古代より人々と諸文明の文物が行き交ったアラビア半島。本展は、その歴史と文化を示すサウジアラビア王国の至宝を日本で初めて公開するものです。
展示は「道」をキーワードに5章構成。第1章は「人類、アジアへの道」。100万年以上前にさかのぼるアジア最初期の石器、5000年前に砂漠に立てられた人形石柱など、先史時代の人々の活動をご紹介します。

人形石柱 カルヤト・アルカァファ出土 前3500~前2500年頃 サウジアラビア国立博物館蔵
本展のメインビジュアル
第2章は「文明に出会う道」。前2500年頃からメソポタミア文明とインダス文明をつなぐ海上交易で反映したアラビア湾(ペルシャ湾)沿岸地域の出土物を展示します。

祈る男 タールート島出土 前2900~前2600年頃 サウジアラビア国立博物館蔵
メソポタミア美術の特徴を示す表情やポーズ
第3章は「香料の道」。前1000年以降に香料交易で賑わったオアシス都市の出土品を展示します。

テル・アッザーイルで出土した黄金製品の数々
第4章は、「巡礼の道」。マッカ(メッカ)、マディーナ(メディナ)という2大聖地を擁するアラビア半島への文字通り巡礼がテーマ。17世紀から聖地マッカのカァバ神殿で実際に使われていた扉やクルアーン(コーラン)の写本などを展示。アラビア文字が刻まれた墓碑の美しい書体も必見です。

カァバ神殿の扉 オスマン朝時代・1635年または1636年 サウジアラビア国立博物館蔵
鈍い輝きに歴史の重みを感じずにはいられない
最後の第5章は、「王国への道」。現在のサウジアラビア王国の初代国王となったアブドゥルアジーズ王の豪華な遺品を展示します。

アブドゥルアジーズ王の刀 20世紀 キング・アブドゥルアジーズ財団蔵
黄金に輝く刀!
以上、全5章構成で展示件数400件超。そのすべてがサウジアラビア王国からの作品で、かつ日本初公開のものばかり。実は…それがなんと総合文化展料金でご覧いただけるんです!!ということは、現在開催中の「仁和寺と御室派のみほとけ」展のチケットでもご覧になれるということです。「仁和寺と御室派のみほとけ」展、総合文化展目当てで来られる方も、ぜひ表慶館にもお立ち寄りください。
なお、2月4日(日)まではアラブ・イスラーム学院のご協力により、「アラビア体験」と題して、表慶館前にてアラビアの遊牧民テント内で、アラブ世界で楽しまれているアラビックコーヒーに関する民具や、香炉、ナツメヤシの葉で編んだ敷物やかご、毛織物、伝統衣装などを展示します。さらにアラビックコーヒーとデーツ(ナツメヤシの実)を無料でご提供します!(※)

アラビアの遊牧民テント

アラビックコーヒーとデーツ
それから最後にもう1点注目ポイント!なんとこの展覧会、展示作品すべて撮影OKなんです!明治末期の洋風建築を代表する表慶館(重要文化財)は基本的にはイベントや展覧会の開催中しかお入りいただけません。ということは、この素晴らしくフォトジェニックな館内も撮り放題ということです。とっておきの1枚をカメラにお収めください!

エントランスを見上げると美しいドーム天井が

階段手すり。その曲線美!
というわけで注目ポイント満載のこの展覧会、会期は3月18日(日)まで。ご来館の際は、表慶館にもぜひ足をお運びください!
※ アラビア体験は1月23日(火)~2月4日(日)、アラビックコーヒーとデーツの無料配布は各日先着1,000名となります。
カテゴリ:news、2018年度の特別展
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posted by 武田卓(広報室) at 2018年01月23日 (火)
2017年12月27日から2018年2月18日まで,タイ王国バンコク市のバンコク国立博物館においてタイ文化省芸術局,文化庁,東京国立博物館,九州国立博物館,国際交流基金主催の「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展が開催されています。タイでは1997年に「日本の陶磁展」、2011年に「日本とタイ―ふたつの国の巧と美展」が開催され今回で3回目となります。

バンコク国立博物館
展示構成は縄文時代から江戸時代までの作品106件で、タイにおいて日本美術を総合的に紹介する初めての展覧会です。今回、普段はタイの美術の歴史を紹介している展示室(Gallery of Thai History)を、「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展のために、昨年から展示環境構築、展示デザインを含め展覧会開催に向け力を注いできました。ここでは展示環境構築、展示デザインについてご紹介いたします。

Gallery of Thai History
普段はタイの美術の歴史の展示をしている

Gallery of Thai History の平面図
柱と柱の間のデッドスペースが多い
・ゆったりと鑑賞できる作品レイアウト
大きさも様々な彫刻、絵画、書跡、工芸、考古作品がお互いに適切な距離を保ちながら空間の広さを感じられるように5面ガラスやアクリルの展示ケースを用い、デッドスペースの柱と柱の間へも仮設ケースを作り展示を構成しました。

「1章 日本美術のはじまり」の展示の様子

「2章 仏教美術」の展示の様子

雛人形は柱と柱の間のケースで展示しました。
・作品が安全に展示され、見やすいこと
考古と一部の工芸作品に専用の支持金具を作りグラフィックを用いて、使い方などが想像できるように展示しました。

銅剣などの展示の様子
(図右:06_吉田広2014「弥生青銅器祭祀の展開と特質」『国立歴史民俗博物館研究研究報告』第185集 より)

簪の展示とイメージグラフィック
・日本美術の繊細な細部を鑑賞できること
鑑賞者から作品までの距離を可能な限り近くなるように展示しました。工芸作品や絵画などに限らず細部が見られる事は、作品をじっくりと鑑賞できることにつながります。

ガラスから作品までの奥行が短くなるようにパネルを設置。絵画や書の細部が鑑賞しやすくなっています。

畳を使った茶の湯の展示の様子とお茶室の解説グラフィック
・展示室と展示ケースの温湿度環境の改善
以下のグラフは「展示室内(エントランス付近)」の温湿度グラフと「雛人形が展示された展示ケース内」の温湿度グラフです。雛人形の展示ケース内の変動幅は小さく、一定の温湿度の範囲内に収まっていることがわかります。

「展示室内(エントランス付近)」の温湿度グラフ

「雛人形が展示された展示ケース内」の温湿度グラフ
一定に保たれていることが分かります
このように安定した展示環境は、バンコク博物館と東京国立博物館 保存修復課長の指導のもと環境保存室が協力し、展示室の空調を24時間稼動、気密性能の高い展示ケースを製作したことではじめて実現できました。
この他にも浮世絵版画を作るワークショップなど日本文化を伝える展示をおこなっています。展覧会を訪れた方々が日本の美意識の一端を感じられる展示であれば幸いです。
次回、「日本美術のあゆみ―信仰とくらしの造形―」展のブログ第二弾では、展示の内容についてご紹介します。
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posted by 矢野賀一(デザイン室主任研究員) at 2018年01月17日 (水)
開幕! 特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」
本日、特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」がついに開幕しました。

平成館1階のエントランス 本特別展バナー

平成館1階には仁和寺門跡が家元をつとめる「御室流華道」のいけばなを展示
※本日よりしばらくの間は平成館ラウンジでご覧いただけます。
開幕に先立ち、前日の15日(月)に行われた開会式と内覧会にも多くのお客様にご出席いただきました。開会式には御来賓として高円宮妃久子殿下にお越しいただきました。

開会式には多くのお客様にご出席いただきました

銭谷 当館館長の開会の挨拶(写真:右から銭谷 東京国立博物館長、立部 総本山仁和寺門跡・真言宗御室派管長、老川 読売新聞グループ本社取締役最高顧問・主筆代理、六條 道明寺住職、小泉 龍華寺檀家代表、宮田 文化庁長官、阿部 光村印刷代表取締役社長)
仁和寺は宇多天皇が仁和4年(888)に完成させた真言密教の寺院です。歴代天皇の厚い帰依を受けたことから優れた文化財が数多く伝わります。本展では、これら仁和寺に伝わる名宝を紹介するとともに、仁和寺を総本山とする御室派寺院に伝わる名宝の数々も集結します(会期中展示替あり)。
展覧会は5章構成。
第1章ではまず、仁和寺の歴史を展観します。御願寺(皇室の私寺)として歴代天皇より崇敬をされていたことを物語る数多くの「宸翰」(天皇の書)を中心に、歴代門跡の肖像画や古文書を展示します。中でも見逃せないのは、2014年度に修理が完了した弘法大師・空海ゆかりの国宝「三十帖冊子」。こちら、本日から1月28日(日)まで限定で展覧会史上初、三十帖すべてを公開します!

国宝 三十帖冊子 空海ほか筆 平安時代・9世紀 京都・仁和寺蔵 ※通期展示(帖替あり)、全帖公開は1月28日(日)まで
第2章では、密教の世界における儀式「修法」に関わる名品を、
第3章では火災や戦火に遭いながらも守られてきた仁和寺と御室派寺院の宝蔵に納められた宝物をご覧いただきます。

密教修法の孔雀経法の本尊画像 国宝 孔雀明王像 中国・北宋時代・10~11世紀 京都・仁和寺蔵 展示期間:~2月12日(月・休)
仁和寺の伽藍も京都を戦場とした応仁の乱で焼失してしまいます。それが復興されたのは江戸時代初期、覚深法親王(1588~1648)の頃。4章ではその復興の歴史をご紹介します。また、復興された諸堂のうち、普段は非公開の観音堂の内部を実際に安置されている33体の仏像と、壁画の高精細画像で再現しました。こちらはなんと皆さん撮影OK!SNSなどでどんどん拡散してください!

実際の安置物とともに再現された仁和寺・観音堂

観音堂内部の壁画も高精細画像でリアルに再現
最後の5章は、「御室派のみほとけ」。こちらでは仁和寺と御室派寺院が誇る仏像の名品をずらっと展示します。さらにこの章のクライマックスは秘仏コーナー。普段はお寺でも公開されていない多くの秘仏を展示。お寺に行ってもめったに見られない秘仏がこれだけ一堂にご覧いただける機会はそうありません!仏像ファン以外の方も必見です!

秘仏本尊! 国宝 十一面観音菩薩立像 平安時代・8~9世紀 大阪・道明寺蔵 通期展示

秘仏本尊! 重要文化財 馬頭観音菩薩坐像 鎌倉時代・13世紀 福井・中山寺蔵 通期展示
以上、展覧会の全体を駆け足でご紹介いたしました。特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝―」、会期は3月11日(日)まで。今後、まだまだ伝えきれていない本展の見どころをこちらのブログでご紹介していきます!乞うご期待!
カテゴリ:news、2017年度の特別展
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posted by 武田卓(広報室) at 2018年01月16日 (火)
平成30年、2018年の初春にあたり、つつしんでお慶びを申し上げます。
さて今年もトーハクは2日から開館、恒例の新春企画「博物館で初もうで」ではじまります。
パンダのシャンシャン誕生で盛り上がる上野ですが、今年の干支は戌(いぬ)。ということで、明日2日から、イヌを表した絵画や工芸品を集めた新春特集展示「博物館に初もうで 犬と迎える新年」を開催します(1月28日まで)。人間にとって古い友だちであるイヌ。この展示では、円山応挙筆の「朝顔狗子図杉戸」をはじめ、イヌを表した作品をご覧いただきます。また、今年は松林図屏風の公開は4月の特別展「名作誕生-つながる日本美術」までお待ちいただきますが、京都国立博物館から国宝「釈迦金棺出現図」をお借りして展示(1月28日まで)するほか、国宝「古今和歌集(元永本)」下帖(1月14日まで)および重文となった「鳥獣戯画断簡」(2月4日まで)を新春特別公開としております。正月2日と3日には、和太鼓・獅子舞・クラリネットコンサートなど、初春を寿ぐイベントもございます。トーハクで日本のお正月をお楽しみいただければ幸いです。
平成館の特別展は、新年1月16日開幕の「仁和寺と御室派のみほとけ―天平と真言密教の名宝―」(~3月11日)にはじまり、春の「名作誕生―つながる日本美術」、夏の「縄文―1万年の美の鼓動」、秋の「大報恩寺(ほうおんじ)展」(仮称)、そして米国フィラデルフィア美術館との交流企画特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」と、多彩な展覧会が目白押しです。
加えて表慶館では、1月23日から「アラビアの道―サウジアラビア王国の至宝」を開催します(~3月18日[日])。
総合文化展では、新年2日から東洋館8室で台東区との連携企画で行う特集「呉昌碩(ごしょうせき)とその時代―苦鉄(くてつ *呉昌碩の号)没後90年―」が開幕します。また、今年は春の本館北側の庭園開放を昨年より延長して5月20日(日)までとし、「博物館でお花見を」の期間中だけでなく、春から初夏にかけての庭園散策をお楽しみいただけるようにいたしました。夏休みの教育普及企画や秋の「博物館でアジアの旅」など、時節に合わせさまざまな展示・催しものを展開してまいります。
一方、来るオリンピック・イヤー、そして2022年のトーハク150周年に向けて、本館の改修にも着手いたします。詳細は追って当Webサイトなどでご案内させていただきます。
2018年、多産・安産といわれる犬にあやかり、皆さまにとってワンダフルでオンリーワンな体験を生み出せるよう、いろいろと知恵を絞る所存です。皆さまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。

館長 銭谷眞美
考古展示室のハンズオン「埴輪 犬」とともに
カテゴリ:news
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posted by 銭谷眞美(館長) at 2018年01月01日 (月)

20
17年も今日で終わり。
今年もトーハクの1年を振り返ってみましょう!
今年も1月2日から開館したほ!
1月17日からは特別展「春日大社 千年の至宝」が開幕しました。
国宝の甲冑が4領そろい踏みして、盛り上がったほー!
3月には京都国立博物館で開催された「京キャラ博」にお呼ばれしました。
トラりんのダンス、かっこよかったほ!
春には「博物館でお花見を」がありました。
4月11日から開幕した特別展「茶の湯」にあわせて、庭園の茶室「転合庵」の内部を特別に公開したのよね。
6月は尾形光琳(おがたこうりん)さんの「風神雷神図屏風」を展示したほ。
この時からアイデアをあたためていたほ…。
その話はもう少し先よ!
7月4日からは日タイ修好130周年記念特別展「タイ ~仏の国の輝き~」が始まりました。
大きな扉が印象的だったわね。
本館では親と子のギャラリー「びょうぶとあそぶ」もあったほ。
ぼくも体験レポートをしたほ!
9月5日からは「博物館でアジアの旅」が東洋館ではじまりました。
テーマは「マジカル・アジア」。ちょっと怖い作品もあったわね...。
9月12日からは表慶館で「フランス人間国宝展」が開幕したほ!
いつもの表慶館とはちがった感じでとっても楽しかったほー。
そんな中、9月22日・23日に今年も「博物館で野外シネマ」を開催。
沖浦啓之監督のアニメーション「ももへの手紙」を上映しました。
9月26日からは興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」がはじまったほ!
たくさんのお客さんに来ていただき、ご来場が60万人を超えました。
まさに、史上最大の運慶展だったわね!
11月には「世界キャラクターさみっとin羽生」に出場するため、埼玉県羽生市にいったほー。
この時の仮装イベント「はにゅコレ」で、トラりんといっしょに「風神雷神図屏風」の雷神になったのよね。
「ゆるキャラ(R)グランプリ2017」にエントリーしたことも忘れちゃいけないほ!
結果は3375票。企業・その他部門で第147位(エントリー数477位中)でした。
応援していただき、ありがとうございました!
さて、トーハクくん、来年は…?
来年も1月2日(火)から開館するほ!
「博物館に初もうで」を開催します。
2日・3日は和太鼓や獅子舞のイベントをお楽しみください!
2日には、ぼくたちも登場するほ!
時間は10:30、13:00、14:30で、各30分くらい、場所は本館前だほ。
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今年もご来館いただき、ありがとうございました。
2018年も、トーハクをよろしくおねがいいたします!
カテゴリ:news、トーハクくん&ユリノキちゃん
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2017年12月31日 (日)