このページの本文へ移動

華麗なる伊万里、雅の京焼

  • 『染付吹墨月兎図皿 伊万里 1620~30年代 東京国立博物館蔵(左) 色絵龍田川図向付 乾山 18世紀 滋賀・MIHO MUSEUM蔵(右)』の画像

    染付吹墨月兎図皿
    伊万里 1620~30年代 東京国立博物館蔵(左)
    色絵龍田川図向付
    乾山 18世紀 滋賀・MIHO MUSEUM蔵(右)

    表慶館
    2005年10月4日(火) ~ 2005年12月4日(日)

     江戸時代は日本陶磁史の中でも最も華やかな時代です。長年の憧れであった磁器が生まれ、色彩豊かな色絵も始まりました。日本にそして世界に広がった伊万里と、伝統と文化の中心地、京都で焼かれた京焼の名品を紹介いたします。華麗で多彩な江戸のやきものの世界をご堪能ください。

展示作品一覧へ

開催概要
会  期 2005年10月4日(火)~12月4日(日)
会  場 東京国立博物館 表慶館 (上野公園)
開館時間 9:30~17:00 (毎週金曜日は20:00まで開館。入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日 (ただし2005年10月10日(月・祝)は開館、翌10月11日(火)は休館)
観覧料金 一般1,300円(1,200円/1,100円)、大学・高校生900円(800円/700円)
中学生以下は無料
( )内は前売り/20名以上の団体料金
障害者とその介護者1名は無料です。入館の際に障害者手帳などをご提示ください。
前売券は、JR東日本みどりの窓口・びゅうプラザ、チケットぴあ、ローソンチケット、e-plus'(イープラス)、CNプレイガイド、ファミリーマート、サンクス、セブンイレブン、JTB各支店などの主要プレイガイド、および東京国立博物館 正門観覧券売場(開館日のみ)にて、2005年9月2日(金)から10月3日(月)まで発売
特別展「華麗なる伊万里、雅の京焼」「北斎展」における当日割引のご案内
2展の同時開催期間中(2005年10月25日~12月4日)「華麗なる伊万里、雅の京焼」「北斎展」のいずれかの特別展を観覧後、当日中にもうひとつの特別展を観覧する場合は、2展目の当日料金を割引料金(通常の当日料金より100円引き)にて観覧できます。特別展会場入口で観覧済み半券をご提示ください。ただし、割引引換券等の他の割引特典との併用はできません。また、招待券および団体券は対象外です。
交  通 JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅 、千代田線 根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主  催 東京国立博物館、読売新聞社
協力 JR東日本
お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会ホームページ http://info.yomiuri.co.jp/event/
展覧会ホームページは会期終了時をもって終了いたしました。
関連事業
  記念講演会
第1回/記念講演会「仁清の茶壺」
平成館 大講堂 2005年10月22日(土) 13:30~15:00 受付終了
講師:大手前大学人文科学部助教授 岡 佳子 氏
第2回/記念講演会「伊万里磁器の魅力に迫る」
平成館 大講堂 2005年11月19日(土) 13:30~15:00 受付終了
講師:出光美術館主任学芸員 荒川 正明 氏
同時期開催
興福寺創建1300年記念 特別公開「国宝 仏頭」
会期:2005年9月21日(水)~10月16日(日)
会場:本館特別5室
観覧料金:特別展観覧券または平常展料金でご覧いただけます。
 
白鳳彫刻の代表として教科書にも登場する興福寺の仏頭が特別公開されます。はるか遠くに向けられたおおらかな視線、はちきれるような若やいだ頬の輪郭、仏頭は1300年前の貴公子を彷彿とさせます。この特別公開は、時代を超えた美丈夫との新たな出会いの場になることでしょう。
特別展「北斎展」
会期:2005年10月25日(火)~12月4日(日)
会場:平成館
※特別展「北斎展」の観覧券が必要です。
 
浮世絵師葛飾北斎の全貌を、肉筆画・版画・版本の各分野から精選した作品約500点を通じて明らかにします。日米欧の美術館の協力のもとに開催する、これまでにない規模の「北斎展」です。
主な出品作品
伊万里
 
 この展覧会は日本で最初に磁器を焼いた伊万里から始まります。量産をベースにおいた伊万里は、時代によって作風を大きく展開させていきます。「初期伊万里、伊万里・古九谷様式、伊万里・柿右衛門様式、金襴手」これに伊万里を領内に擁した鍋島藩の藩窯で焼かれた「鍋島」を加え、17世紀から18世紀前半にかけての伊万里の展開をご覧いただきます。

初期伊万里では日本初の磁器がどのようにして生まれたかをご覧いただきます。古九谷様式の色絵磁器では南京手、五彩手、青手といった作風毎に異なった視点で迫ります。初期の輸出物からヨーロッパを魅了する柿右衛門様式の完成への道をたどり、金襴手では輸出向けと国内向けとの作風の違いに目を向けます。鍋島では、あえて展示作品を皿に限り、極致とも言えるデザインの粋を堪能していただきます。
染付吹墨月兎図皿
  染付吹墨月兎図皿 (そめつけふきずみげっとずさら)
伊万里 1620~30年代 東京国立博物館蔵
高2.4cm、口径19.9cm、底径8.5cm


 中国・元時代の青花(染付の中国での呼称)で既に行われていた吹墨という技法によって、三日月と愛らしい兎を描いた作品。中国陶磁への憧れの中から生まれた初期伊万里は、こうした技法を駆使して魅力的な作品を生み出しました。
色絵蝶牡丹図大鉢
  重要文化財 色絵蝶牡丹図大鉢 (いろえちょうぼたんずおおばち)
伊万里・古九谷様式 1640~50年代 個人蔵
高8.8cm、口径40.5cm、底径21.0cm


 古九谷様式の大皿を代表する作品です。器面を色釉で埋め尽くす、南京手、青手といった古九谷様式の作風の中で、珍しく白地を残す五彩手と呼ばれる作風を示しています。赤彩の線描のみで描かれた蝶の可憐な姿も印象的です。
色絵秋草文徳利
  色絵秋草文徳利 (いろえあきくさもんとっくり)
伊万里・柿右衛門様式 1670~90年代 個人蔵
高23.3cm、口径2.0×1.8cm、底径(台座金具)9.1×8.5cm


 底に付けられた金色の台座はヨーロッパで付けられたもの。柿右衛門様式はヨーロッパへの輸出が盛んになる中で生まれ、その優品はほとんどがヨーロッパに伝わったものです。色絵を美しく見せるために生まれた乳白手(にごしで)の純白の地に端整な筆致で可憐な秋草が描かれています。
色絵松帆掛船文皿 「元禄六酉 柿」銘
  色絵松帆掛船文皿 (いろえまつほかけぶねもんさら)  「元禄六酉 柿」銘
伊万里 元禄6年(1693) 個人蔵
高4.8cm、口径23.5×17.2cm、底径15.5×10.0cm


 松と帆掛船を染付で描き、そこにたなびく源氏雲を染付、赤、緑そして金彩で飾っています。この作品は、柿右衛門様式に続く金襴手の要素をすべてにわたって高い水準で備えており、この時期に伊万里焼が新しい様式へと展開していったことを示しています。
色絵輪繋文三足大皿
  色絵輪繋文三足大皿 (いろえわつなぎもんさんそくおおざら)
鍋島 18世紀 個人蔵
高8.3cm、口径26.0cm、高台径15.5cm


 日本のやきものの中で「完璧」という言葉が最もよく似合うのが鍋島です。技、意匠いずれをとっても完璧な世界を作り上げています。輪繋ぎによって器面を2つに分割したこの皿は現代的な意味でのデザインを感じさせる作品と言えましょう。
京焼
 
 京焼の歴史は名工の歴史でもあります。京都という地にあって、その伝統と文化を背景により付加価値が高く優れたやきものを作る。こうした京焼の性格がブランドとしての「名工」を生み出したのでした。今回の展覧会では野々村仁清(にんせい)に始まり、尾形乾山(けんざん)、そして江戸後期の名工たちまでのそれぞれの作品に迫ることで、京焼の世界をご覧いただきます。

京焼もそれぞれのテーマにあった視点に立って展示が構成されています。仁清では、「絵」によって「器」をいかに飾ったか、さらに国宝色絵雉香炉(石川県立美術館蔵)に代表される独特の象形の世界などをご覧いただきます。乾山では、「絵としてのやきもの」という視点に立って、尾形光琳との合作による銹絵角皿(さびえかくざら)をはじめとする乾山焼の世界に迫ります。その一方で、雅な京焼の代表でもある古清水(こきよみず)をご覧いただき、江戸後期に輩出した奥田頴川(えいせん)、青木木米(もくべい)、仁阿弥道八(にんなみどうはち)、永楽保全(えいらくほぜん)といった名工たちの作品をご覧いただきます。
色絵月梅図茶壺 色絵月梅図茶壺
  重要文化財 色絵月梅図茶壺 (いろえげつばいずちゃつぼ)
仁清 17世紀 東京国立博物館蔵
高30.0cm、口径10.6cm、胴径27.1cm、底径11.4cm


 野々村仁清による茶壺の代表作です。満月の下に咲き誇る梅樹で飾られています。月と白梅は銀彩。今は酸化して黒ずんでいますが、制作当時はどれほど輝いていたことでしょう。
銹絵水仙文茶碗
  銹絵水仙文茶碗 (さびえすいせんもんちゃわん)
仁清 17世紀 京都・天寧寺蔵
高8.6cm、口径12.4cm、高台径4.0cm


 色絵で有名な野々村仁清の作品の中で、華やかさとは対極にある名品です。胴をくぼませた形、水仙の花を白泥(はくでい)で盛り上げ、型紙を使って吹墨(ふきずみ)で縁取るという繊細な技、まさに雅の世界です。
色絵紅葉図透彫反鉢
  色絵紅葉図透彫反鉢 (いろえもみじずすかしぼりそりばち)
乾山 18世紀 個人蔵
高12.0cm、口径20.0cm、高台径9.8cm


 尾形光琳を兄に持ち、自身も絵を描いた尾形乾山(深省)は、「絵」と「やきもの」との間に新しい世界を作り上げました。この作品は紅葉と流水の絵を反鉢に作り上げたもの。口縁や透彫の形は絵によって決まります。畳の上にある鉢を座って眺める視点から見ると、器の内と外が一体となり、奥行きのある紅葉の絵が広がっています。
色絵笙形掛花入
  色絵笙形掛花入 (いろえしょうがたかけはないれ)
古清水 18世紀 京都府立総合資料館蔵(京都文化博物館管理)
高25.0cm


 いわゆる名工の作品ではありませんが、文化と伝統の地、京都でしか生まれ得なかったという意味で、古清水は雅のやきものとなりました。雅楽で用いられる伝統の楽器である笙の形を掛花入に採用した、いかにも京焼らしい作品です。
煎茶道具一式
  煎茶道具一式 (せんちゃどうぐいっしき)
青木木米 19世紀 東京国立博物館蔵

 青木木米は京焼の磁祖といわれる奥田頴川のもとで陶技を学びました。その作品の中でとりわけ名高いのが煎茶道具です。この作品で、木米は染付、赤絵、呉須手(ごすで)、交趾(こうち)、高麗青磁、南蛮など実にさまざまな技法を見せてくれています。