本館 14室
2025年3月25日(火) ~ 2025年5月18日(日)
16世紀以降、近世の日本でキリスト教を信仰したキリシタンにまつわる遺品には、様々な来歴のものがあります。東京国立博物館では、長崎奉行所の宗門蔵で保管されていた関連資料を収蔵していますが、これはキリスト教禁教期(17~19世紀)に浦上を中心とする長崎各地の信徒から押収された品々や、江戸幕府の禁制政策に使用された踏絵等からなり、キリシタン信仰史を知るうえで欠かせないことから、一括して「長崎奉行所キリシタン関係資料」として重要文化財に指定されています。
本特集では、このうちイタリア人宣教師シドッチが携行したとみられる「親指のマリア」をはじめとして、プラケット(大型の金属製レリーフ)や十字架、マリア観音といった信仰に用いられた資料をご覧いただくとともに、近年実施している調査研究についてもご紹介します。今回は、寛文9年(1669)に制作されたという真鍮(黄銅)製の踏絵の科学分析とあわせて、ロザリオや旧蔵者の名前等を記した付札の保存処置と保管環境の改善を進めました。当時の信仰に思いをはせつつ、キリシタン関係遺品に対する当館の取組みについてご覧いただければ幸いです。