本館 15室
2024年8月6日(火) ~ 2024年10月6日(日)
江戸時代に作られた図譜は、魚譜(ぎょふ)、虫譜(ちゅうふ)、草木譜(そうもくふ)など本草(ほんぞう)学の知識を結集した図鑑や、印籠譜(いんろうふ)、貨幣を表した対泉譜(ついせんふ) 、更紗図譜(さらさずふ)などの下絵や模様を集めたカタログ集まで、きわめて多種多様です。その中で、本特集で紹介する堀田正敦編『禽譜』は、その名の通り鳥類を対象としたもので、図譜の最高傑作として知られています。
堀田正敦(1758~1832)は、仙台藩主伊達宗村の第八男に生まれ、近江国堅田(かただ)藩主となった人物です。江戸幕府で若年寄をつとめ、本草学に詳しく、学者達との交流も盛んでした。堀田が編纂した『禽譜』には、詳細な解説が、古今東西の書物を引用して記載されています。そして、今にも飛び立ちそうな鳥が彩色豊かに描かれています。これらの図は、堀田と交流のあった大名や狩野派の絵師などから提供されたものです。
本特集では、解説文のみの「譜」から、図が入り色彩が施された「図」譜への歴史的な展開も辿ります。合わせて、図譜の多様性を示す作品も紹介します。江戸時代の図譜の世界をお楽しみください。