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生誕180年記念 呉昌碩の世界—金石の交わり—

  • 『行書「槐安」軸 呉昌碩筆 中国 中華民国15年(1926) 高嶋泰二氏寄贈』の画像

    行書「槐安」軸 呉昌碩筆 中国 中華民国15年(1926) 高嶋泰二氏寄贈

    東洋館 8室
    2024年1月2日(火) ~ 2024年3月17日(日)

    清朝末期から中華民国初期に活躍した呉昌碩(ごしょうせき・1844~1927)は、書画篆刻(てんこく)の芸術に偉大な業績を遺しました。中国では18世紀後半以降、古代の金属器や石刻など、金石(きんせき)の銘文を制作の拠りどころとする碑学派(ひがくは)や金石画派が興ります。呉昌碩もまた奥深い金石の研究に没頭しました。とりわけ「石鼓文(せっこぶん)」の臨書(りんしょ)は、呉昌碩の芸術を「金石の気」に満ちた素朴で重厚なものへと昇華させます。

    呉昌碩は安吉(あんきつ・浙江〈せっこう〉省)の知識人の家系に生まれました。太平天国の乱(1851~64)により、苦難の生活を強いられたものの、学問への志を絶やさず、杭州(こうしゅう〈浙江省〉)、蘇州(そしゅう〈江蘇(こうそ)省〉)、上海へと活動の場を広げます。各地で金石を介して師友と親交を深め、研鑽を積んだ呉昌碩は、後年、上海芸術界の中心人物となり、日本にも多大な影響を与えました。

    令和6年(2024)は呉昌碩の生誕180年にあたります。本展はこれを記念し、呉昌碩の芸術活動に焦点をあてます。第1部「呉昌碩前夜」では、金石を尊重した先学や、呉昌碩に先行する上海の芸術家たちの作品をご覧いただきます。第2部「呉昌碩の書・画・印」は、呉昌碩の書画や印譜(いんぷ)を概観し、作風の変遷をたどります。第3部「呉昌碩の交遊」では、師友や弟子の作品に注目します。本展を通して、「金石の交わり」のなかで築かれた呉昌碩の世界をご堪能いただけますと幸いです。

    ○前期=2024年1月2日~2024年2月12日
    ●後期=2024年2月14日~2024年3月17日
    作品リストに前期、後期の記載がない作品は全期間展示

    担当研究員の一言

    本展で21回目を迎える台東区立書道博物館との連携企画。呉昌碩生誕180年記念事業として、両館のほか台東区立朝倉彫塑館、兵庫県立美術館でも同時期に展示が開催されます。各館で「呉昌碩の世界」をご堪能いただけますと幸いです。

主な出品作品

(注)所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。

行書「槐安」軸 呉昌碩筆 中国 中華民国15年(1926) 高嶋泰二氏寄贈

隷書張衡霊憲四屛 趙之謙筆 中国 清時代・同治7年(1868) 小林俊明氏・小林高明氏寄贈 ○前期

篆書張茂先励志詩四屛 呉熙載筆 中国 清時代・19世紀 青山杉雨氏寄贈 ●後期

花卉図四屛 趙之謙筆 中国 清時代・同治13年(1874) 高島菊次郎氏寄贈 ●後期

篆書集石鼓字聯 呉昌碩筆 中国 清時代・19世紀 青山慶示氏寄贈 ●後期

水仙怪石図軸 呉昌碩筆 中国 中華民国7年(1918) 青山慶示氏寄贈 ●後期

斉雲館印譜 呉昌碩作 中国 清時代・光緒2年(1876) 小林斗盦氏寄贈 

削觚廬印存 呉昌碩作 中国 清時代・光緒9年(1883) 小林斗盦氏寄贈 

山水図扇面 呉昌碩筆 中国 清~中華民国時代・19~20世紀 高島菊次郎氏寄贈 ○前期

篆書般若心経十二屛 呉昌碩筆 中国 中華民国6年(1917) 高島菊次郎氏寄贈 ○前期

芙蓉図軸 王一亭筆 中国 中華民国15年(1926) 個人蔵 ○前期

 

関連事業

平成館 大講堂  2024年2月2日(金) ~ 2024年2月3日(土)   13時30分~15時45分
(注)開場は13時00分を予定。特別展開催期間中は券売所等が混み合うことがございますので、お時間に余裕をもってお越しください。   受付終了

パンフレット

生誕180年記念 呉昌碩の世界 リーフレットの表紙画像

生誕180年記念 呉昌碩の世界

呉昌碩生誕180年記念事業として、当館、台東区立書道博物館のほか、台東区立朝倉彫塑館、兵庫県立美術館でも同時期に展示が開催されます。
詳しくはパンフレットをご覧ください。