このページの本文へ移動

創立150年記念特集 根付 郷コレクション

  • 『兎牙彫根付線刻銘「懐玉齋刻」 江戸時代・19世紀郷誠之助氏寄贈』の画像

    兎牙彫根付
    線刻銘「懐玉齋刻」 江戸時代・19世紀
    郷誠之助氏寄贈

    本館 12室
    2022年11月2日(水) ~ 2023年1月22日(日)

    昭和17(1942)年11月20日、東京帝室博物館に郷誠之助氏(1865~1942)から根付を中心とするコレクションが一括寄贈されました。郷氏は貴族院議員や東京商工会議所会頭を歴任し、第一次大戦後の財界で主導的な役割を果たした実業家です。海外で高い人気を持つ根付が国内から散逸してゆく状況を憂慮した郷氏は、25年余りをかけて優品の蒐集に努めたといいます。
    根付とは、印籠や巾着、煙草入などを腰に提げるときに用いる留め具です。郷氏のコレクションは江戸~明治期の有名根付師の作品をはじめとする質の高いもので、国内外の根付愛好者の間で高く評価されています。作者の系統や影響関係にまで留意し、幅広い素材や技法、意匠を揃えるなど、日本の根付文化を学問的視点で保存した随一の個人コレクションと言えるでしょう。
    「郷コレクション」寄贈80周年となる本年、日本工芸における一つの標本となるよう一貫した方針で蒐集し、それを寄贈された郷誠之助氏を顕彰し、その根付コレクションを一括公開いたします。江戸時代の人々が身につけて歩き、掌中で楽しんだ身近な工芸の粋をご鑑賞ください。

     

    展示作品リストへ

    担当研究員の一言

    すぐれた細密工芸の鑑賞体験には、スケール感を忘れるような深みを感じることがあります。「郷コレクション」の面白いところは、そんな世界観を感じさせるような傑作も含め、多種多様な素材・技法・主題があふれた根付文化を見事に保存している点にあります。ある主題を別の作家がどのように扱っているか、といった学術的な関心にも対応可能な品揃えも魅力です。274点の根付・緒締の一点一点に、芯の通った郷氏の蒐集方針が窺えます。/福島修

主な出品作品

(注)所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。

燭陰木彫根付 雲樹洞院幣丸 江戸時代・18世紀 郷誠之助氏寄贈

龍仙人木彫彩色根付 吉村周山 江戸時代・18世紀 郷誠之助氏寄贈

鬼鐘馗木彫彩色根付 吉村周山 江戸時代・18世紀 郷誠之助氏寄贈

蛤牙彫根付 線刻銘「懐玉」 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

饅頭形唐美人牙彫根付 線刻銘「明鶏斎法實」 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

臼兎牙彫根付 線刻銘「蘭亭」 江戸時代・19世紀

面持猿木彫根付 線刻銘「三輪」 江戸時代・18世紀 郷誠之助氏寄贈

猩々木彫根付 線刻銘「寿玉(花押)」 明治時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

常盤牙彫根付 線刻銘「光廣」 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

東方朔木彫根付 線刻銘「啄斎」 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

高砂牙彫根付 線刻銘「景利」 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

心磨牙彫根付 線刻銘「友親」 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

刀鍛冶牙彫根付 線刻銘「白雲斎」 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

大原女牙彫根付 線刻銘「光明(花押)」 明治時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈

高砂牙彫根付 線刻銘「藻己刻」 明治時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈