本館 14室
2022年7月12日(火) ~ 2022年9月4日(日)
この特集では、東京国立博物館(東博)が収蔵するガラス作品のなかから、主に明治期前後につくられ、博物館草創期にコレクションに加わったものをご紹介します。日本では江戸時代から、食器など生活用具のガラス器が本格的に生産されるようになります。なかでも切子(カット)ガラスは、江戸時代末から薩摩をはじめ江戸、大坂でもつくられ、緻密で豊かな文様装飾をうみだしました。その多彩な表現は、小さなガラス製の雛道具にも見ることができます。
明治時代に入ると、西洋式のガラス生産を目指す動きがおこり、明治9年(1876)には官営の品川硝子製造所(のちの品川工作分局)が設置されます。その製品は内国勧業博覧会にも出品され、一部が当館に寄贈されました。またコレクションには、珍しい舶来のガラスも含まれています。例えば、幕末期の箱書きをともなった脚付のコップや、金彩の施されたカットガラス、そして、イギリスの工業デザイナー、クリストファー・ドレッサーが選定に関与し明治9年に日本に寄 贈したイギリスやフランスのガラスなどです。これらは、東博のガラスコレクションに彩りを与えています。
創立150周年を迎えた東博ならではの、多様な来歴で、かつ貴重な国内外のガラスコレクションをお楽しみください。