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未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―

  • 『見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀』の画像

    見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀

    本館 2室
    2022年4月12日(火) ~ 2022年5月8日(日)

    東京国立博物館は、令和4年(2022)に創立150年を迎えました。この150年の歴史のなかで収集された文化財のなかには、国指定の国宝や重要文化財となっていなくとも素晴らしい作品が数多く収蔵されています。
    「150年後、もしくはその先の未来、この国宝室にはどのような作品が展示されているのだろう」。
    こういった問いかけから、今年度は「未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―」というテーマで展示を行なうことにしました。私たち研究員が選び抜いたイチ押しの作品を「未来の国宝」と銘打って、年間を通じてご紹介していくという試みです。
    数万件に及ぶ絵画、書跡、歴史資料のなかから選び抜いた、東京国立博物館コレクションの「逸品」をどうぞご堪能下さい。

     

    年間の展示予定

     

     

    見返り美人図
    菱川師宣筆
    江戸時代・17世紀

     

    画面向かって左側へと歩くあざやかな緋色の着物の少女が、ふと足をとめて振り返った一瞬を描いています。
    少女の後姿から、当時のファッションの流行が垣間見えます。髪にさした櫛は鼈甲(ウミガメの一種、タイマイの甲羅)でできた高級品です。下げた髪の毛の先端を曲げて輪にする髪型「玉結び」は、江戸時代の貞享(1684~1688)頃に人気を博しました。振袖の柄は桜と菊が円形にあしらわれた「花の丸模様」とよばれるものです。帯結びは人気の女形(歌舞伎で男性が女性を演じる)役者、初代上村吉弥が考案した「吉弥結び」です。一方を輪にして結び、他方をそのまま垂らす片結びです。
    この作品を描いた菱川師宣は流行のファッションに身を包んだ当世美人を描いて、江戸の庶民に人気を博し「浮世絵の祖」といわれる絵師です。
    身に着ける物に刺繍や金や銀の箔を摺り合わせて模様を表わす縫箔師の子として、安房国(現在の千葉県)で生まれ、江戸に出て絵師となりました。
    ファッショナブルな装いの少女の視線の先には何がうつっているのでしょうか。
    この作品は昭和23年(1948 )の「切手趣味週間」シリーズで切手のデザインにとりあげられて以来、抜群の知名度を誇るようになりました。

     

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀