本館 特別2室
2019年11月19日(火) ~ 2019年12月25日(水)
ユーラシア大陸の東端の海上に浮かぶ日本は、古代、中世を通して、中国や朝鮮半島と交流し、その文化に学んできました。そして、大航海時代の真っ只中の16世紀半ばには、ヨーロッパの人々が来日し、それをきっかけに西洋との本格的な往来が始まりました。本展示では、所蔵・寄託品から、16世紀末から19世紀までの日本とヨーロッパを中心とする諸外国との交流を示す資料を選び、3つのテーマでご紹介します。
第一部では、天文18年(1549)にフランシスコ・ザビエルが日本に伝えたキリスト教にちなむ文物を展示します。宣教師や商人たちは世界各地の港を中継して日本にたどり着いたため、この頃のキリシタン資料は実に国際性豊かです。
第二部では、慶長5年(1600)に豊後国臼杵(うすき、大分県臼杵市)に漂着したオランダ船のデ・リーフデ号ゆかりの重要文化財「エラスムス立像」(栃木・龍江院(りゅうこういん)所蔵)を公開します。
第三部では、江戸幕府が外国との交通を制限した鎖国の時代に、日本にもたらされた諸外国の文物をご紹介します。清の乾隆帝(けんりゅうてい)がフランスの銅版画の技術を導入して作らせた「乾隆平定両金川得勝図(へいていりょうきんせんとくしょうず)」や、 蘭学者として有名な福知山(ふくちやま)藩主・朽木昌綱(くつきまさつな)によるヨーロッパの硬貨図集『西洋銭譜(せいようせんぷ)』などをご覧いただきます。当時の人々の憧れや好奇心をかき立てた異国伝来の品々をお楽しみください。
担当研究員の一言
「桔梗蝶楓⿅蒔絵螺鈿聖龕」は、ヨーロッパ側からの注文に応じて輸出用に作られた南蛮漆器の聖龕(聖画をおさめる厨子)です。以前から知られていた作品ですが、そのなかにおさめられた「聖ステファノ図」が、近年、国内外の研究者の注目を集めています。見た目は、黒くて何が表されているのかわかりにくいのですが、実は16世紀にスペインに支配される以前のメキシコ先住民たちの伝統工芸(羽根モザイク)の技法で作られていることが分かってきたのです。
日本の漆器、西洋のキリスト教図像、メキシコ先住民の装飾技法が「合体」した、類まれな作品です。どうぞお見逃しなく!/鷲頭 桂