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奈良・金春家伝来の能面・能装束

  • 『重要文化財 能面 曲見 「天下一是閑」焼印 金春家伝来 安土桃山~江戸時代・16~17世紀』の画像

    重要文化財 能面 曲見 「天下一是閑」焼印 金春家伝来 安土桃山~江戸時代・16~17世紀

    本館 特別1室・特別2室
    2017年1月31日(火) ~ 2017年3月26日(日)

    能楽は古くは猿楽と言い、社寺の祭礼に伴って行われました。南北朝時代、春日大社の春日若宮や、興福寺で能を奉納したのが後に観世(かんぜ)座、宝生(ほうしょう)座、金春(こんぱる)座、金剛(こんごう)座と呼ばれる大和猿楽四座(やまとさるがくよざ)で、現在まで能楽のシテ方をつとめています。そのなかでも最も長い歴史を持つのが金春家を宗家とする金春流です。室町時代のはじめ、金春禅竹(ぜんちく)が能楽の大成者世阿弥の娘婿となり伝書を相伝されました。安土桃山時代には金春安照(やすてる)が豊臣秀吉の絶大なる庇護のもと、一時代を築きます。しかし江戸時代以降、その勢いは次第に衰え、明治の混乱期には、金春家に伝来した面、装束の多くが売却され散逸してしまいました。

    この時に散逸を免れ、奈良の民間団体諦楽舎(ていらくしゃ)が管理をしていたもののうち、能狂言面47面と能装束類196件が戦後、東京国立博物館の所蔵となりました。

    金春家の面には造形が形式化する前の古いもの、後世多くの写しが作られた有名なものなどが含まれます。また、安土桃山時代の能装束は当時の最新の技術と最高の素材が用いられており、秀吉から下賜されたと考えられます。金春家は古くから続く芸風とともにこれらを大切に継承してきたのでしょう。

    この特集は金春家伝来の面と装束の名品をまとまった形でご覧いただく初めての機会です。日本文化を代表する能楽の歴史を探るうえでも非常に貴重なコレクションをお楽しみください。

     

    担当研究員の一言

    金春家の能面、能装束の優品一挙公開!迫力に満ちた能面の表情や、装束に刺繍されたかわいらしい鳥、金銀箔で表された葡萄。その表現や技術はもちろん、古格を重んじた金春座が追い求めた美を感じてください。/川岸瀬里

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
重要文化財 能面 三光尉
「三光」陰刻 金春家伝来
室町時代・15~16世紀(2017年2月12日まで展示)
重要文化財 能面 翁 金春家伝来
室町時代・15世紀
重要文化財 能面 長霊癋見 「キヒノケンせイ」陰刻 金春家伝来 室町時代・15~16世紀
重要文化財 摺箔(子方)紫地色紙葡萄模様 金春家伝来 安土桃山時代・16世紀
重要文化財 縫箔(子方)白地桐鳳凰芦桜雪持竹肩裾模様 金春家伝来 安土桃山時代・16世紀
重要文化財 縫箔 紅白段菊芦水鳥模様 金春家伝来 安土桃山時代・16世紀
重要文化財 能面 曲見 「天下一是閑」焼印金春家伝来 安土桃山~江戸時代・16~17世紀
重要文化財 能面 小面 金春家伝来 室町時代・15~16世紀
重要文化財 縫箔 白地雪持柳扇面肩裾模様 金春家伝来 安土桃山時代・16世紀
重要文化財 厚板 金紅片身替詩歌模様 金春家伝来 江戸時代・17世紀
 

 

図録

金春家伝来の能面・能装束
金春家伝来の能面・能装束

編集・発行:東京国立博物館
定価:1,500円(税込)
全136ページ
オールカラー)

※ 2017年1月31日(火)より、ミュージアムショップにて販売。

関連展示

特別展「春日大社 千年の至宝」 平成館 特別展示室 2017年1月17日(火)~2017年3月12日(日)

関連事業

平成館 大講堂  2017年2月25日(土)   13:30~15:00 *開場は13:00を予定   当日受付