東洋館 8室
2016年1月2日(土) ~ 2016年2月14日(日)
藍瑛(らんえい/1585~1664、異説あり)は杭州(こうしゅう/浙江省(せっこうしょう))に生まれた、明時代の後期を代表する画家です。初め地元で画を学びますが、それに飽き足らず江南の各地に遊学、当時の江南随一の文人であった董其昌(とうきしょう)や陳継儒(ちんけいじゅ)の知遇を得て、彼らの収蔵する様々な古画と文人画の理念を学び、晩年に杭州に帰り多くの弟子を育てました。
藍瑛は、杭州の伝統的な画派である浙派(せっぱ)の雄大な構図法に、当時の江南の地で流行していた清雅な文人画法を取り入れ、新しい画風を確立しました。その画風は家族や弟子に受け継がれ、武林派(ぶりんは/「武林」は杭州の古称)と呼ばれるようになります。そのため藍瑛は「浙派の殿将(しんがり)」であるとともに、「武林派の始祖」とも呼ばれています。
注目すべきは藍瑛の画風が、子の藍孟(らんもう)、孫の藍濤(らんとう)、弟子の孫杕(そんてい)、章谷(しょうこく)・章采(しょうさい)兄弟に至るまで、多くの弟子たちに継承され、一見すればすぐにそれとわかる特色ある武林派を育てあげたことです。また、藍瑛の作品は江戸時代から日本に多くもたらされ、谷文晁(たにぶんちょう)など江戸の文人画家たちに影響を与えたことも、よく知られています。
藍瑛と武林派の全貌をご覧いただく国内初の展示を、どうぞご堪能ください。