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顔真卿と唐時代の書

  • 『千福寺多宝塔碑(部分) 顔真卿筆 中国 唐時代・天宝11年(752) 高島菊次郎氏寄贈』の画像

    千福寺多宝塔碑(部分) 顔真卿筆 中国 唐時代・天宝11年(752) 高島菊次郎氏寄贈

    東洋館 8室
    2015年12月1日(火) ~ 2016年1月31日(日)

    唐(618~907年)は、王羲之(おうぎし)が活躍した東晋(317~420年)とともに、中国の歴史上、書がもっとも高い水準に到達しました。唐時代の書は、栄華を極めた唐文化を象徴するかのように、東晋の書を継承しつつも、東晋とは異なる美しさが追求されました。唐時代に完成された楷書がいかに完成したものであったかは、その後新たな書体が出現しなかったことからも、容易に理解されるでしょう。

    唐の太宗皇帝は王羲之の書を崇拝したため、王羲之の格調高い書風は朝野に浸透しました。唐の四大家と称される欧陽詢(おうようじゅん)、虞世南(ぐせいなん)、褚遂良(ちょすいりょう)、顔真卿(がんしんけい)は、王羲之の書法に基づきながら、唐の洗練された気風を盛り込みました。四大家によって確立された美しい楷書は、今も多くの人たちに学ばれ続けています。

    2015年は、顔真卿(709~785)の没後1230年にあたります。顔真卿は、伝統的な書法に立脚しながら、蚕頭燕尾(さんとうえんび)という独特の筆法によって力強く親しみやすい楷書を創出し、行書や草書においても数々の傑作をのこしています。唐時代の後半には、伝統的な書法から逸脱した書風も妍(けん)を競いあい、異彩を放つ名品は枚挙に遑(いとま)がありません。

    このたび13回目を迎える台東区立書道博物館との連携企画では、顔真卿をはじめとした唐の名家の拓本や、敦煌から出土した当代随一の写経生による気品高い宮廷写経、民間で書写された典籍の肉筆など、書が最高峰に到達した唐時代の美しい優品を紹介します。
     

    担当研究員の一言

    古典中の古典とされる唐時代の書の魅力を、たっぷりとご堪能ください。図録も発売しています。/富田淳

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
重要文化財 大方広仏華厳経 中国 唐時代・8世紀 京都国立博物館蔵(2016年1月2日から展示)
重要文化財 化度寺碑 欧陽詢筆 中国 唐時代・貞観5年(631) 京都・大谷大学博物館蔵(2015年12月13日まで展示)
妙法蓮華経 巻第二 中国 唐時代・上元2年(675) 東京・三井記念美術館蔵(2015年12月23日まで展示)
九成宮醴泉銘 欧陽詢筆 中国 唐時代・貞観6年(632) 個人蔵(2015年12月15日から展示)
伊闕仏龕碑 褚遂良筆 中国 唐時代・貞観15年(641) 東京・三井記念美術館蔵(2015年12月23日まで展示)
孟法師碑 褚遂良筆 中国 唐時代・貞観16年(642) 東京・三井記念美術館蔵(2016年1月2日から展示)
麻姑仙壇碑 顔真卿筆 中国 唐時代・大暦6年(771) 高島菊次郎氏寄贈


 

同時開催

   台東区立書道博物館 特別展「顔真卿と唐時代の書」 (2015年12月1日(火)~2016年1月31日(日))
会期中、東京国立博物館で書道博物館の、書道博物館で東京国立博物館の観覧券の半券を提示で、それぞれ団体割引料金で観覧できます(各種割引の併用はできません)。

 

図録

東京国立博物館コレクションの保存と修理


顔真卿と唐時代の書 ― 顔真卿没後一二三〇年 ―


価格:800円(税込)
12月1日(火)より、ミュージアムショップにて販売。

 

関連事業

平成館 大講堂  2016年1月16日(土)   13:30~15:00 *開場は13:00を予定   当日受付
<ギャラリートーク>   顔真卿と唐時代の書
東洋館 8室  2015年12月8日(火)   14:00 ~ 14:30   当日受付