本館 特別2室
2014年9月30日(火) ~ 2014年11月24日(月・休)
わが国では古くから、中国舶来の文物に憧れを抱き、求め続けてきました。それらは「唐物」と呼ばれ、鎌倉・室町時代になると将軍家や武家を中心に会所(かいしょ)の飾り物として珍重されます。「唐物」を所有したいという願いは、やがてお茶をたしなむ文化の普及とともに、いわゆる「和製唐物」を生み出すこととなります。 そして国内で作られる美術工芸品にも新たな価値が与えられていくのです。また、日本が中国に注文して作らせた古染付(こそめつけ)や祥瑞(しょんずい)、呉州手(ごすで)といった陶磁器は、中国では使われることのなかった日本独特のものであり、いわば「もう一つの唐物」といえるでしょう。
この特集では、会場を大きく3つに分け構成しています。まず、室町の座敷飾りを示す『君台観左右帳記(くんだいかんそうちょうき)』の世界を再現することにより、将来された「唐物」を紹介します。次に、そうした「唐物」観にもとづいて国内で作られた天目や茶入、あるいは「唐物」の技術をもとに作られた鎌倉彫といった「和製唐物」を取り上げます。最後に「もう一つの唐物」をテーマに、輸入および国産の陶磁器に見られる中国趣味に焦点を当て、日本における受容の変遷や注文制作の様相、伊万里焼(いまりやき)や京焼に与えた影響などを紹介します。