東洋館 8室
2014年9月30日(火) ~ 2014年12月7日(日)
今年も秋の中国美術の名品展として「中国書画精華」を開催いたします。
日本には古くから中国の書画が舶載され、日本美術にも大きな影響を与えてきました。特に、宋・元時代の書画は、鎌倉時代以降の禅宗とともに数多く伝えられ、書院や茶室において、日本の趣味にもとづく独自の鑑賞法のもとに親しまれてきました。東山御物(ひがしやまごもつ)に代表される名品の中には、中国では伝わることがなく、今日、日本においてのみ伝世しているものも少なくありません。また、明治以降、新たに中国本来の文人趣味を理想とする優れた収集家によって、中国伝世の歴代書画の精品が、少なからず日本に伝えられました。
それらは中国の書画の神髄を示すものといえますが、長い伝来の過程で破損したり表具が痛んだりしていきます。そのため50年から100年に一回、大きな修理が必要ですが、それを積み重ねることで、作品は次の世代へと引き継がれていきました。今回、その時期にあたったのは陳容「五龍図巻」で、2年がかりの本格修理を終え、今回がはじめてのお披露目となります。
この機会に、唐・宋・元・明・清の歴代の書画を、それを伝えていく人々の心と技にも思いをはせながら、ご堪能ください。