平成館 企画展示室
2011年11月22日(火) ~ 2012年2月12日(日)
信濃の国、現在の長野県。その北部地域には、弥生時代中期後半から後期にかけて、鮮やかな赤で飾られた独特の土器が発達しました。それは中期の「栗林式土器」と呼ばれる土器群と、後期の「箱清水式土器」と呼ばれる土器群です。特に後者の分布する地域は「赤い土器のクニ」とも称され、成熟した稲作農耕が発達するとともに、青銅器や鉄器を伴う独特の弥生文化が形成されていたことが近年の考古学的調査の結果、明らかとなってきました。
今回の特集陳列では、長野県立歴史館所蔵の長野市松原遺跡と篠ノ井遺跡群から出土した、この地域を代表的する「赤い土器」をはじめ、その「赤」を生み出したベンガラやそれをすりつぶす道具などもあわせて展示します。さらに、当館所蔵のほぼ同時期の「東海と北部九州の赤い土器」を比較展示し、「信濃の赤い土器」の特徴を明らかにするとともに、「赤」に込められた当時の人びとの想いに迫りたいと思います。
なお、この特集陳列は、考古資料相互活用促進事業の一環として行われるものです。