平成館 考古展示室
2011年11月1日(火) ~ 2012年3月11日(日)
古墳時代の祭祀遺跡は、交通の難所である峠や岬、離島などに多くみられます。これらは我々の祖先が自然に神威を感じ、神々を畏れ敬って、祈りを捧げてきた姿を伝えています。
奈良時代の記紀・風土記には、このような場所にすむ荒ぶる神が人々の往来を妨げ、恐れられていたことが記されています。そうした神々を鎮めるために、さまざまな奉献品を手向けた場所が祭祀遺跡と考えられます。これらの遺跡は、平安時代の延喜式などに記録されている律令的国家祭祀における神統譜に編制される以前の神マツリの在り方を示すものとして重要です。
祭祀遺跡の出土遺物は、手捏土器をはじめして、時期ごとに変化することが特徴です。
前期の4世紀は銅鏡・石製品・玉類や農工具などを象った滑石製模造品が中心ですが、中期の5世紀中頃には小型・多量化する滑石製模造品に、須恵器や鏡形・武具形・機織具形・酒造具形などの土製模造品が加わります。後期の6世紀にはさらに、鈴鏡・鐸・農具形や人形・馬形などの多様な土製模造品が現れます。奉献品の多様化は、人々の神々に対する観念が次第に豊かになっていった過程をうかがわせています。
本展覧会では、このような日本古代国家成立期にあたる古墳時代の神マツリについて、多様な祭祀遺跡出土品の変遷を通じてご紹介します。