肩衣藍麻地鳥居杉木立模様
江戸時代・19世紀
本館 9室
2024年6月25日(火) ~ 2024年8月25日(日)
狂言は室町時代の日常生活を舞台にした古典喜劇です。人間関係や、神仏や自然現象と人間とのかかわりを、滑稽に演じたり風刺を込めて描き出したりしています。狡猾(こうかつ)さ、横着、嫉妬、わがまま、情けなど、人間のありのままの感情や行動に対する深い洞察がユーモアの中にも見え隠れし、現代に生きる私たちにも共感と笑いを誘います。
狂言の面は喜劇にふさわしくユーモラスな表情が特徴です。「猿」や「狐」など動物を表した面、「乙(おと)」、「祐善(ゆうぜん)」など老若男女の表情豊かな面、「うそぶき」、「武悪(ぶあく)」のように超人的な役柄を表現した異形の面などが見られ、狂言の笑いに一役買っています。
狂言装束には、室町時代の庶民の衣服の形が受け継がれています。刺繡や金銀箔で装飾された能装束のような華やかさはありませんが、地方住まいの大名や、その従者たちといった役柄の親しみやさがデザインに表れています。江戸時代になると、素襖(すおう)や肩衣(かたぎぬ)に大胆でユーモアに満ちた模様が染められるようになりました。布面全体を画面に見立てて、年中行事や祭礼、四季折々の草花や野菜、生活用具や玩具などを、自由闊達(かったつ)に描いています。
今回一緒に展示されている『能狂言絵巻』の中巻には、江戸時代前期における大名家の狂言の様子が描かれています。登場人物たちのにぎやかな掛け合いを思い浮かべながら、面と装束による狂言の装いをお楽しみください。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 能狂言絵巻 中巻 | 1巻 | 筆者不詳 | 江戸時代・18世紀 | A-10185-2 | 7月22日に巻替 | |
おすすめ | 肩衣 藍麻地鳥居杉木立模様 | 1肩 | 江戸時代・19世紀 | I-4107 | |||
半袴 黒麻地渦巻模様 | 1腰 | 江戸時代・19世紀 | I-4110 | ||||
おすすめ | 裃 紺地縞鞠模様 | 1領 | 奈良・金春家伝来 | 江戸時代・19世紀 | I-3284 | ||
素襖 茶浅葱染分地鉄線模様 | 1領 | 江戸時代・19世紀 | 文化庁蔵 | ||||
白大口 | 1腰 | 江戸時代・18世紀 | I-2852 | ||||
狂言面 狐 | 1面 | 江戸時代・17~18世紀 | 個人蔵 | ||||
狂言面 鳶 | 1面 | 江戸時代・18~19世紀 | C-1144 | ||||
狂言面 猿 | 1面 | 江戸時代・18~19世紀 | C-198 | ||||
おすすめ | 狂言面 うそぶき | 1面 | 安土桃山~江戸時代・16~17世紀 | C-180 | |||
狂言面 祐善 | 1面 | 江戸時代・17世紀 | C-194 | ||||
狂言面 武悪 | 1面 | 寿満作 | 江戸時代・18世紀 | C-202 | |||
狂言面 賢徳 | 1面 | 江戸時代・18~19世紀 | C-193 |