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蓋の表裏から身の内にかけて、流水に御所車や殿舎を描く硯箱。水辺には水禽が遊び、菊の花々が今を盛りと咲き誇っています。菊は長寿の象徴であり、御所車は王朝時代への憧憬から好まれた題材でした。高(たか)蒔絵を基調に切金(きりかね)を丹念に置き、付描で波を描くなど、多様な蒔絵技術が駆使されています。