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140周年ありがとうブログ

トーハクの歴史にありがとう

平成9年(1997年)秋のある休日のことです。私は高校生になった次男と二人でトーハクを訪れました。
本館で開催されていた特別展「日本のかたな-鉄のわざと武のこころ-」を観るためです。

当時、次男は週刊ジャンプ連載の「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚」に熱中して、主人公緋村剣心や斉藤一など剣客に熱くなっていました。また、古美術にも関心のあった秋田のおじいちゃんからも刀の話を色々聞いていました。

会場は落ち着いた荘重な雰囲気で、次男は夢中になって展示してある刀剣一振り一振りを矯めつ眇めつ(ためつすがめつ)ながめていました。
一通り見終わった私は、まだ時間がかかりそうな次男にことわって、他の展示をみたり、外に出て本館や表慶館を眺めたりして、ゆったりとした時間を過ごしました。

空は晴れて、風はさわやかで気持ちのいい一刻でした。
やがて、見終わった次男と感想を言い合いながら帰りました。

担当者としてではなく、来館者としての15年前の思い出です。
父から子、子から孫へと歴史や文化は伝えられていきます。

私は今、トーハクで働いていて、素直にトーハクを支えてこられた諸先輩や多くのお客様にありがとうと思っています。

トーハクの歴史にありがとう
このブログに登場した職員、まだまだ影で働いている職員、
みんなで次の世代へバトンを渡していきたいと思います。
トーハクは、「まだ、たった、140年」です。 

カテゴリ:2013年3月

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posted by 銭谷眞美(東京国立博物館長) at 2013年03月28日 (木)