本館 19室
2015年9月25日(金) ~ 2016年3月13日(日)
東洋絵画では、鉱物・植物・動物・昆虫など、自然界にあるさまざまなものを加工して、絵具として使用してきました。
原材料が異なると、加工された絵具も色調や使い勝手が異なります。
それぞれの絵具の特性を理解し、使い分け、組み合わせることにより、絵画の表現も多様に広がります。
中国の南宋時代・慶元3年(1197)に宮廷画家の李迪(りてき)によって描かれた国宝「紅白芙蓉図」も、絵の具の特色を巧みに活かした作品のひとつです。
調査に基づき、ここでは二幅の掛軸のうちピンク色の花を再現しました。
材料の特徴を説明するために染料と顔料の2つの異なる材料で彩色を再現しています。材料別に描き分けられた作品を見比べることで、多彩な東洋絵画の絵具についてご紹介します。
制作当時の素材や技法については未だよくわからないことも多いのですが、現在の状況を注意深く観察して忠実に再現した、工程見本や参考資料を通して、東洋絵画に親しんでいただければ幸いです。
制作:平成23年度東京藝術大学学生ボランティア 石井恭子