本館 特別2室
2013年2月13日(水) ~ 2013年4月7日(日)
教科書でもおなじみの武将といえば、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人を思い浮かべる人は多いでしょう。安土桃山時代に活躍した三人は乱世を武力でもって鎮め、天下統一へと駒を進めた人物として評価されています。しかし、時代劇やドラマなどでも取り上げられるその人物像は、いわばイメージ先行で私たち日本人に認識されているともいえます。
この時代来日した宣教師ルイス・フロイスは信長と直接面会して、その声の高さを記録にとどめています。一方快活な人柄で語られる信長ですが、実際は家臣の失敗を責め、逆らう者を皆殺しにする冷酷な人物でもありました。秀吉は関白・太閤として君臨しましたが、正室北政所(きたのまんどころ)とは仲が良く、人前でも夫婦で良くしゃべると、貴族の一人は驚いています。家康は実直で忍耐強いと思われていますが、非常に短気で怒ると興奮が収まらない性格でありました。
このような天下人の実際の姿の側面を伝えてくれるのが、自らが書いた書状や消息、和歌短冊などです。政治や戦略、支配に関して残された古文書からはその政治的思想を知ることが出来ます。本陳列では、肖像画を導入として、書作品、古文書や縁のある工芸品などから実像に迫ることを企図しています。豪快な信長の筆致はその性格を反映しているようですし、秀吉の字は意外に神経質そうな癖のあるものなど、今までのイメージとはひと味違った天下人達に出会えることを願っております。