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日中国交正常化40周年 東京国立博物館140周年 特別展「中国 王朝の至宝」

日中国交正常化40周年 東京国立博物館140周年 特別展「中国 王朝の至宝」
平成館 特別展示室   2012年10月10日(水) ~ 2012年12月24日(月)

  
一級文物 虎座鳳凰架鼓 戦国時代・前4世紀 湖北省・荊州博物館蔵

13億以上の人口を持ち、世界で4番目に広い国土を持つ中国。現在も50を越える民族を抱えながら、巨大な国家として6千年ともいわれる歴史を現代につなげています。黄河や長江といった大河の恵みのもとで高度な文明を発展させてきた中国では、他国にはない独自の文化や思想が脈々と受け継がれてきました。そして、それは私たち日本人の精神的・文化的ルーツにもつながっています。
本展では、中国に誕生した歴代王朝の都ないし中心地域に焦点を当て、それぞれの地域の特色ある文物を対比しながら展示し、多元的でダイナミックに展開してきた中国文化の核心に迫ります。
国宝級の「一級文物」約60%というスケールで貴重な文物168件をご紹介します。
 

1089ブログ「2012年度の特別展」 展覧会の見どころなどを紹介しています。

東京国立博物館 資料館 特別展「中国 王朝の至宝」関連図書コーナー設置

開催概要

会  期 2012年10月10日(水)~12月24日(月・休)
会  場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜日は20:00まで開館。10月20日(土)は21:00まで開館)
休館日 月曜日 ※ただし12月24日(月・休)は開館
観覧料金 一般1500円(1300円/1200円)、大学生1200円(1000円/900円)、高校生700円(500円/400円)
中学生以下無料
( )内は前売り/20名以上の団体料金
障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。

前売券は、東京国立博物館 正門チケット売場(窓口)(開館日のみ、閉館の30分前まで)、展覧会公式ホームページ、チケットぴあ(Pコード=765-255)、ローソンチケット(Lコード=35686)、イープラス、セブンチケット(セブンコード=018-243)ほか主要プレイガイドにて、2012年8月1日(水)~10月9日(火)まで販売 前売券の販売は終了しました。

早割ペア券(2000円)は、チケットぴあ(Pコード=765-256)、ローソンチケット(Lコード=35686)など主要なプレイガイド、および展覧会公式ホームページ上のオンラインチケットにて、2012年7月1日(日)から8月31日(金)まで販売。(早割りペア券は、東京国立博物館では販売しません)早割ペア券の販売は終了しました。
会期中、本特別展の観覧券で、観覧日当日1回に限り特別展「出雲―聖地の至宝―」(2012年10月10日(水)~11月25日(日))もご覧いただけます。
「東京・ミュージアムぐるっとパス」で、当日券一般1500円を1400円(100円割引)でお求めいただけます。正門チケット売場(窓口)にてお申し出ください。
東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を1000円(200円割引)でお求めいただけます。正門チケット売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示下さい。
特別展「中国 王朝の至宝」会期終了後の2013年1月2日(水)~2013年1月23日(水)まで、本特別展半券を当館正門チケット売場にてご提示いただければ、当館総合文化展を半額の割引料金でご覧いただけます。
交  通 JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主  催 東京国立博物館、中国文物交流中心、NHK、NHKプロモーション、毎日新聞社、朝日新聞社
後  援 外務省、中国国家文物局、中国大使館
協  賛 信越化学工業、大日本印刷、三井住友海上
協  力 全日本空輸、東京中国文化センター
  本展は、政府による美術品補償制度の適用を受けています。
カタログ・音声ガイド 展覧会カタログ(2300円)は、平成館2階会場内、および本館地下ミュージアムショップにて販売しています。音声ガイド(日本語のみ)は一般プログラム、NHKアニメ「キングダム」のプログラムの2種類があり、それぞれ500円でご利用いただけます。
お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会ホームページ http://www.china-ocho.jp/ 
展覧会公式サイトは会期終了時をもって終了いたしました。

巡回予定

神戸市立博物館 2013年2月2日(土)~4月7日(日)
名古屋市博物館 2013年4月24日(水)~6月23日(日)
九州国立博物館 2013年7月9日(火)~9月16日(月・祝)

関連事業

平成館 大講堂  2012年10月12日(金)   13:30 ~ 15:00   受付終了
<講演会・講座>   記念講演会(2)中国文明の謎
平成館 大講堂  2012年10月20日(土)   13:30 ~ 15:00   受付終了

ジュニアガイド

特別展「中国 王朝の至宝」の鑑賞の手引きとして、ジュニアガイドを制作しました。PDFをダウンロードし、プリントアウトしてご活用ください。
 ジュニアガイドのページへ

展覧会のみどころ


第一章 王朝の曙 蜀vs夏・殷
第二章 群雄の輝き 楚vs斉・魯
第三章 初めての統一王朝 秦vs漢
第四章 南北の拮抗 北朝vs南朝
第五章 世界帝国の出現 長安vs洛陽
第六章 近世の胎動 遼vs宋
コラム 新発見&日本初公開

 

第一章 王朝の曙 蜀vs夏・殷

紀元前2000年頃から、黄河中流域の平原、つまり中原には、中国の初期的な王朝が誕生しました。いわゆる夏(か)や殷(いん)です。細緻で強靭な造形を備えた青銅器や玉器を作り、漢字の元となる文字をはじめて体系的に用いるなど、中国文化形成の礎となりました。それとほぼ同じ頃、長江上流域にあたる四川盆地、すなわち蜀(しょく)と呼ばれた地域では、黄河流域の王朝とは別の勢力による国が形成されていました。肥沃な土地によりながら、人の姿をした神や各種の動物を崇め、金を多用した高度な文化をもつ古代蜀の王国です。四川(蜀)と中原(夏・殷)という二つの地域で形作られた特色ある文物を間近に対比することにより、異なる勢力が並存していた初期王朝期の多元的な中国文化の実態を照らし出します。
  蜀vs夏・殷

 

一級文物 金製仮面(きんせいかめん)   一級文物 金製仮面(きんせいかめん)
金製 殷~西周時代・前12~前10世紀 幅4.9cm
四川省成都市金沙遺跡出土 成都金沙遺址博物館蔵

金製の仮面です。幅が5㎝にも満たない小さな作品ですが、金板を巧みに加工して、神か人かの顔貌を表現しています。金をふんだんに使用したり、人の形ないしその一部を造形化するのは蜀文化の特徴の一つで、青銅や玉によってもっぱら祭祀儀礼具を作り続けた中原文化と大きく異なる点です。この仮面が出土した金沙遺跡は、現在の四川省成都市の西郊外にあり、少し北にある三星堆遺跡とともに、古代蜀文化の存在を明らかにしました。

 

一級文物 爵(しゃく)
青銅製 殷時代・前16~前15世紀 長18.5cm
河南省鄭州市商城遺址出土 鄭州博物館蔵

把手と細長い注口が付いた三足の器で、酒を温めるために用いられました。中原の初期王朝にみられる典型的な青銅器の一種で、殷の次の西周初期まで流行しました。中国の青銅器は、もともと祭祀儀礼用に制作されたもので、一部の支配者層が制作技術を独占し、彼らの権威の象徴ともなっていました。この作品は、殷時代前半の都城址から発見されたもので、この種の青銅器にあっては比較的古い形式を示す貴重な作品です。
 
一級文物 爵(しゃく)

 

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第二章 群雄の輝き 楚vs斉・魯

殷の後に中原を支配した周の威光が薄れると、各地に諸侯が並び立つ春秋戦国の時代になりました。黄河の下流域では、周の流れをくむ斉や魯が栄え、なお周の伝統を残しつつ、諸子百家といわれるような様々な思想・文化が花開きました。一方、長江の中流域では、黄河流域の諸国とは風俗言語を異にした勢力、すなわち楚が隆盛を誇りました。土着的な信仰を色濃く残し、神秘的な姿をした神や獣を崇め、古来の神話体系を護持するなど、独自の文化を展開しました。いまに残る青銅器や木漆器など、この時代の代表的な文物を選りすぐり、南方の雄であった楚と、中原の伝統に連なる斉・魯の文化を改めて比較しながら、豊穣な古代中国文化の諸相を浮き彫りにします。   楚vs斉・魯

 

一級文物 羽人(うじん)
木製・漆塗 戦国時代・前4世紀 通高65.6cm
湖北省荊州市天星観2号墓出土 荊州博物館蔵

なんと不思議な姿でしょう。四足を折ってうずくまった動物の上に羽を広げた鳥がのり、さらにその上に、鳥の嘴と尾羽を持った1本足の異形の者が立っています。各部を木で成形し、表面に漆を塗って彩色して仕上げたものです。楚の都付近の墓から出土しており、おそらく、楚の地で崇められた何らかの神を表現したものでしょう。中原では類を見ないきわめて特異な作例であり、いまだ詳らかにされていない楚の文化の実態を示唆する珍貴な作品です。
   一級文物 羽人(うじん)

 

 一級文物 虎座鳳凰架鼓(こざほうおうかこ)   一級文物 虎座鳳凰架鼓(こざほうおうかこ)
木製・漆塗 戦国時代・前4世紀 通高149.5cm
湖北省荊州市天星観2号墓出土 荊州博物館蔵

屈みこんだ一対の虎の上に、それぞれ鳳凰が立ち、その間に鼓をかけるという奇抜な意匠の楽器。霊獣たちをモチーフとして独特の造形に仕立てた楚ならではの器物です。

 

一級文物 犠尊(ぎそん) 
青銅製・金銀トルコ石象嵌 戦国時代・前4~前3世紀 長48cm
山東省淄博市臨淄区商王村出土 斉国故城遺址博物館蔵

動物をかたどった青銅製の容器で、背中の中央に円形の蓋が備わります。酒を入れて祭壇などに供えたものと考えられます。筋肉の形状を的確に造形して動物の体の質感を見事に表現し、また、表面には、金銀やトルコ石などを象嵌して精緻な文様を表わしています。当時の最先端の技法を駆使してなった傑作といえるでしょう。山東半島に勢力を誇った斉の都付近から発見されており、この地の高度な青銅器文化をよく見て取ることができます。
 
一級文物 犠尊(ぎそん) 

 

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第三章 初めての統一王朝 秦vs漢

紀元前221年、それまで黄河と長江の中下流域に覇を競い合っていた諸国は、西方から興った秦によって滅ぼされ、ここに中国史上初の統一王朝が出現しました。始皇帝(しこうてい)による秦(しん)王朝です。秦は、それまで国ごとに異なっていた文字や諸制度を統一し、中央集権国家を実現しました。短命に終わった秦の次に中国全土を治めた漢(かん)は、秦の体制を継承、発展しながら国家体制を整備し、また儒教を奨励するなど、統一王朝の永続的な運営基盤を築くとともに、南北や西方へも勢力を伸張し、秦をもしのぐ広大な領域を支配しました。絶大な権力を背景に成立した秦の類稀れな破格の文物と、前後400年程にわたって全土を安定的に統治した漢の古典的な様式美が結実した文物を対照し、統一王朝下で展開した新たな中国文化の特色を俯瞰します。
  秦vs漢

 

一級文物 跪射俑(きしゃよう)   一級文物 跪射俑(きしゃよう)
陶製・彩色 秦時代・前3世紀 高122cm
陝西省西安市臨潼区始皇帝陵兵馬俑2号坑出土 秦始皇帝陵博物院蔵

秦の始皇帝は、独裁的な権力を行使して、生前から自らが入る巨大な陵墓を造営し、そこに死後に続く永遠の安住世界を具現しようとしました。その遺産の一つ が6000体以上もの兵士や馬の人形が埋められていた兵馬俑坑です。この作品も、その兵馬俑の一つで、跪いて弩を構える姿がきわめてリアルに表現されてい ます。徹底した写実性と圧倒的な物量を誇る兵馬俑は、始皇帝という無類のキャラクターによって成立した秦の桁外れな文化の性格を何よりもよく象徴していま す。

 

一級文物 女性俑(じょせいよう)
陶製・彩色 前漢時代・前2世紀 高63cm
陝西省咸陽市陽陵陪葬墓園130号墓出土 漢陽陵博物館蔵

景帝(前漢第6代皇帝)に仕えた高官の墓から発見された俑(副葬用の人形)の一つです。漢では、秦のような大型の俑は作られなくなりましたが、皇帝をはじめとする貴族階級の墳墓には、必ずといってよいほど各種の俑が埋納されるようになりました。死後も生前と同様の生活を送るという当時の死生観の反映です。おおむね型を用いて基幹部を作り、細部を整形してから鮮やかに彩色をして仕上げたもので、隅々まで均整の取れた端正な姿には、漢文化の様式美をうかがい知ることができます。
 
一級文物 女性俑(じょせいよう)

 

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第四章 南北の拮抗 北朝vs南朝

漢王朝が滅亡すると、魏・呉・蜀の三国鼎立を経て、晋による一時的な統一の後、華北と華南に王朝が対峙する南北朝の時代となりました。華北では、北方民族が支配する王朝が続き、仏教文化が隆盛するとともに、間断なく流入する外来文化と伝統的な中原文化が融合し、従来の中国にはみられなかった清新な文化が勃興しました。一方、華南では、中原から逃れた漢族が王朝を維持し、漢文化の正統を自負する中で、文化の爛熟期を迎えました。また、北朝や外来の刺激に触発されて、俑や陶磁器の様式に見られるように、伝統からの脱却を図ろうとする機運も芽生えていきました。北朝の大同(山西省大同市)、南朝の建康(江蘇省南京市)というこの時代の中心地域から発見された文物に焦点を当て、南北相互の交流も視野に入れつつ、動乱期の南北でそれぞれの道を歩んだ中国文化変遷の様相を対比します。   北朝vs南朝

 

一級文物 天人龍虎蓮華文柱座(てんじんりゅうこれんげもんちゅうざ)   一級文物 天人龍虎蓮華文柱座(てんじんりゅうこれんげもんちゅうざ)
砂石製 北魏時代・太和8年(484) 幅32cm
山西省大同市司馬金龍墓出土 山西博物院蔵

華北を統一した北魏の高官の墓から出土した石製品。蓮華が大きくかたどられた上面の中央に円孔が開けられていることから、何かの柱を立てた台座とみられます。蓮華の周囲には、中原文化に伝統的な龍と虎が表現されますが、丸々として張りがある童子形の天人の造形や、側面に刻出された唐草の文様などには、西方文化の影響が色濃く認められます。在来と外来の文化を融合し、彫塑や金属器に優れた手腕を発揮した北朝文化の特色がよくうかがわれます。

 

一級文物 仙人仏像文盤口壺(せんにんぶつぞうもんばんこうこ)
青磁 三国(呉)時代・3世紀 通高32.1cm
江蘇省南京市雨花台区長崗村M5墓出土 南京市博物館蔵

華南では、都の建康を中心に、漢文化を継承しつつ、南朝歴代に仏教文化が隆盛しました。この器は、表面全体に雲気や仙人を主とする神仙世界の図像を描き出し、その中に外来の神である仏像を浮彫風に表現するという、珍しい意匠の作品です。三国時代の呉に遡るものですが、基本的な器形や文様に漢時代以来の伝統を踏襲しながら、新たに仏教的なモチーフを採り入れているところに、すでに南朝文化の先駆けが認められます。
 
一級文物 仙人仏像文盤口壺(せんにんぶつぞうもんばんこうこ)

 

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第五章 世界帝国の出現 長安vs洛陽

南北朝の対立を終息させた隋の後を受け、再び中国全土を平定した唐は、皇帝を頂点とし、その下に文武百官を秩序正しく位置づけ、地方の隅々まで行政機構を整備するなどして、強大な帝国を築き上げました。近隣諸国はもとより、遠く地中海沿岸地域からも入貢(外国の使者が貢物をもって入朝すること)が相継ぎ、諸外国との交易も空前の活況をみました。この時代の都であった長安(陝西省西安市)には、常時1万人もの外国人が暮らしていたといわれ、かつてないほど国際色に富んだ華麗な文化が開花しました。副都として位置づけられた洛陽(河南省洛陽市)も、長安と同様、殷賑をきわめ、諸々の芸術活動が華々しく展開し、また、龍門石窟に代表されるように、仏教や道教の造像も隆盛をきわめました。この時代の息吹を象徴する長安と洛陽という二つの都の文物を取り上げ、唐文化の特質と中国史上における意義を探ります。   長安vs洛陽

 

一級文物 花鳥文鏡(かちょうもんきょう)
青銅製・螺鈿 唐時代・開元24年(736) 径24.8cm
陝西省西安市西安理工大学二校区李倕墓出土 陝西省考古研究院蔵

花形に作った青銅鏡の一面に漆を厚く塗り、薄く切ったアワビなどの貝片や宝石を散りばめて美しい文様を表現しています。華麗をきわめた唐文化を代表する作品です。
  一級文物 花鳥文鏡(かちょうもんきょう)

 

 一級文物 金剛神坐像(こんごうしんざぞう)   一級文物 金剛神坐像(こんごうしんざぞう)
大理石製・彩色 唐時代・8世紀 高75cm
陝西省西安市北郊安国寺址出土 西安碑林博物館蔵

長安城の北東区域に建立された安国寺の跡から出土した大理石製の仏像。安国寺跡からは計11体の仏像がみつかっていますが、それらは、他にほとんど現存していない唐時代盛期の密教系仏像の貴重な遺例として、きわめて高い価値を持っています。もとは金箔や彩色が施されていたようで、きらきらと輝く大理石の肌合いとあいまって、造立当初は、長安の絢爛とした雰囲気にふさわしく、さぞ華やかな趣をたたえていたことでしょう。

 

仏坐像(ぶつざぞう)
石灰岩製 唐時代・8世紀 高122cm
河南省洛陽市龍門石窟伝来 龍門石窟研究院蔵

唐の副都・洛陽の郊外に造営された龍門石窟の仏像です。龍門石窟(りゅうもんせっくつ)は、5世紀末期に開かれて以来、多数の石窟と仏像が作られ、仏教信仰の聖地となりました。唐にあっても貴顕の尊崇を集め、おびただしい数の大規模な造像が行われました。石灰岩の固い岩盤に彫刻するため、この像に見られるように、線状的でやや硬い表現が認められるものの、均整がとれた破綻のない造形には、中央の造像ならではの高い洗練度がうかがわれます。
 
一級文物 仏坐像(ぶつざぞう)

 

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第六章 近世の胎動 遼vs宋

唐が滅びた後、五代十国(ごだいじゅっこく)という小国が興亡した乱世となりましたが、それを収めたのが宋王朝です。時を同じくして、中国北部では契丹族が勢力を伸ばして遼王朝をうち建て、南方へと進出し、やがて宋を圧迫するようになりました。遼は、漢族の伝統文化や仏教文化の影響を強く受けながら、そこに民族的な要素を溶け合わせて、金銀器や石彫に顕著に見られるように、奔放な力強さにあふれた独特の文化を生み出しました。一方、宋では、漢族の伝統文化を深化させて、書画や陶磁器に代表されるように、深い精神性を備えた新たな境地を切り開き、中国文化の一つの頂点を現出しました。近世の胎動期ともいえるこの時代の南北の文物を対比し、中国文化の多様性と奥深さを眺めてみます。   遼vs宋

 

銀製仮面(ぎんせいかめん)   銀製仮面(ぎんせいかめん)
銀製・鍍金 遼時代・10~11世紀 高18cm
遼寧省阜新市出土 遼寧省博物館

遼の貴族の墓の中で、墓主の顔に被せたもの。遼を建国した契丹族の顔立ちを反映したものでしょう。民族色に富んだ遼文化の典型的な作品です。

 

一級文物 千仏磚(せんぶつせん)
土製・彩色 北宋(呉越)時代・甲戌年(974) 高20cm
浙江省台州市黄岩区霊石寺仏塔天宮出土 台州市黄岩区博物館蔵

型作りによって複数の仏像を一つの磚(レンガ)に表わし、そこに鮮やかな彩色を施したもの。宋時代の仏教信仰の実態を物語る、たいへん稀少な遺品です。
  一級文物 千仏磚(せんぶつせん)

 

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新発見&日本初公開

2001年に発見され、現在も発掘調査が続いている金沙遺跡の多彩な文物や、2008年に発見されて大きな話題をよんだ阿育王塔など、日本初公開の作品をふくめた最新の発掘成果をご紹介します。
一級文物 阿育王塔(あいくおうとう) 一級文物 阿育王塔(あいくおうとう)
銀製・鍍金 北宋時代・大中祥符4年(1011) 高119cm
江蘇省南京市中華門外長干寺里宝塔頂長干寺地宮出土 南京市博物館蔵

南京市の古刹・長干寺(ちょうかんじ)の地下から近年出土した新発見の仏塔です。高さが優に1mを超え、この種の遺品の中では最大のものです。阿育王塔は、古代インドのアショカ王(阿育王)が造立したという八万四千の仏塔の故事にちなんだものですが、ここに見る形式は、中国で考案されたものとみられます。ただし、この種の仏塔は、高さが20㎝内外にとどまり、このような巨大な作例は一つもありません。他を圧倒する大きさ、細部まで克明に表現され、バラエティに富んだ図像、仏骨をはじめとする珍貴で多彩な副葬品など、どれをとってもこの種の仏塔としては規格外の規模と優れた出来映えを誇ります。そのため、中国の関係者は、これを「塔王」(仏塔の王様)と称し、驚異と賛嘆の念をもって接しています。今回、中国政府の特別な計らいにより、地元の南京市以外では初めて公開の運びとなりました。圧倒的な存在感を放つ破格の仏塔の姿を目の当たりにする、またとない機会となることでしょう。