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140周年ありがとうブログ

トーハクの建造物にありがとう

トーハクには大小さまざまな建造物があります。
移築されたものもあれば新築されたものなど、
いろいろな経緯をたどり現在のトーハク群はできています。

トーハクの顔は、何といっても本館です。
本館は、上野公園から続く軸線上に威風堂々、どっしりと構えています。
1879年(明治12年)に竣工した旧本館は、1923年(大正12年)の関東大震災で一部崩壊しました。

被災前の陳列館(旧本館)と、震災によって一部崩壊した陳列館(旧本館)
(左) 被災前の陳列館(旧本館)
(右) 震災によって一部崩壊した陳列館(旧本館)


損傷を受けた陳列館(旧本館)をもとどおりに修復したいという希望もあったようですが、
もっと立派でもっと大きな施設に建て直そうという機運が高まり、
その後の1937年(昭和12年)に竣工した復興本館が現在の本館です。
今年で75年目をむかえることになります。

現在の本館がどのようにできたのか、
造営工事の写真を少しご紹介したいと思います。

敷地展望 昭和七年六月二十七日
敷地展望 昭和七年六月二十七日

写真をみると更地になった建設予定地で肩を組み、「これから一緒にがんばろう!」という雰囲気がうかがえます。
左から2番目の方と一番右の方からは、少し笑みこぼれています。

基礎根切 昭和八年三月二十日
基礎根切 昭和八年三月二十日

人やトラックの大きさから根切の深さが約10メートル程度あることが想像できます。
本館は、東西120×南北100メートルほどですので体積にして10万㎥以上の土を掘り起こしたことになります。

西側鉄骨建方、鉄骨組立完了昭和九年十二月十六日
西側鉄骨建方、鉄骨組立完了昭和九年十二月十六日

鉄骨組立完了
(左) 鉄骨組立完了
(右) 左図中央付近拡大


クレーンで吊り上げられた鉄骨は、リベットで接合され組み立てられています。
鉄骨組立完了の写真の中央、屋根の棟あたりで、たいした足場もなさそうなところで作業をする人がいます。

正面屋根裏側コンクリート打
正面屋根裏側コンクリート打

コンクリートは、棟の上にかけられた足場から下の屋根の型枠へ流しこまれています。
少し反りのある屋根の形状を作るのは、本当に大変だったことと思います。

現在の本館は関東大震災の教訓を活かし、地震や火災に強く大切な文化財や人命を守れる建築であることは、昨年の東日本大震災でも身をもって体験しました。
造営当時は便利な重機など少なかっただろう時代に、これだけの大きな建造物の造営工事に実際携われ成し遂げられた方々に心から「ありがとう」。

カテゴリ:2012年4月

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posted by 矢野賀一(デザイン室) at 2012年04月18日 (水)