平成館 考古展示室
2010年3月16日(火) ~ 2010年9月12日(日)
動物の骨や角、あるいは牙で作られた狩猟具や漁撈(ぎょろう)具、そして装身具などを「骨角器(こっかく き)」と呼びます。またこの仲間には貝製品もあります。骨角器は土器や石器とともに、日常生活に欠かせないものでした。世界の先史時代の遺跡から出土する ように、わが国でも列島全域の縄文時代や弥生時代(続縄文時代・貝塚時代後期)の貝塚から多種多様な骨角器が見つかっています。
骨角器は人びとと動物たちとの強いかかわりのなかで作られた道具です。動物は狩猟や漁撈、そして採集から得られました。そこには苦心して魚や獣を捕ら え、自然が与えてくれた恵みに感謝し、またこれらを残さず、すみずみまで利用することで自然への返礼とした当時の人びとの謙虚な心があります。
骨角器は、素材となる動物を熟知していなくては作ることができません。動物の骨や角の形だけではなく割れやすさや硬さ、装身具などでは色や素材の希少さ も重要でした。
骨角器から狩猟や漁撈などの生業の実態へ迫るだけではなく、祈りや儀礼といった当時の人びとの精神的な側面に触れ、人と動物たちとの深いかかわりについ ても紹介します。