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「名物裂」にみる文様Ⅰ―牡丹唐草文様の変遷―

  • 『金地一重蔓中牡丹唐草文金襴 前田家伝来 明時代・16~17世紀』の画像

    金地一重蔓中牡丹唐草文金襴 前田家伝来 明時代・16~17世紀

    東洋館 第5室
    2008年5月8日(木) ~ 2008年7月27日(日)

     「名物裂」は、広くは鎌倉時代から江戸時代初期にかけて中国などからもたらされた染織品の一群で、中国の 元・明・清時代に中国などで製作された金襴(きんらん)・緞子(どんす)・錦(にしき)・間道(かんどう)などが含まれます。大名家や社寺などに所蔵さ れ、茶道の仕覆(しふく)や袋、書画の表装裂(ひょうそうぎれ)などに用いられています。

      ここでは文様をテーマに、4回のシリーズで名物裂の種々相をみてゆきます。1回目は名物裂に最も多くみられる牡丹唐草文様(ぼたんからくさもんよう)を とりあげます。牡丹花の大きさには大・中・小とあり、茎も一重や二重がみられます。中国・福州の南宋墓より出土した絹織物の牡丹唐草文は、花が中心で、茎 は花と花を結ぶように添えられており、一見、折枝風(おりえだふう)にもみえます。やがて、茎は花を囲むように配され、両者が調和した優美な美しさが感じ られるようになります。その後、花も、それを取り囲む茎や葉も、次第に様式化され、ついには茎と葉の関係も薄れて自由奔放な表現へと変化していきました。 製作年の基準作となる元末明初の作例である永和4年(1378)銘の牡丹唐草文金襴裲襠(りょうとう)を中心に、名物裂の基本書といわれる松平不昧(ふま い)の『古今名物類聚』にも掲載されている加賀藩・前田家伝来の裂を通して、このような牡丹唐草文様の変遷をご覧いただきます。

      年4回のシリーズで、「名物裂」にみる文様を特集いたします。詳しくは年間の特別展・平常展のページをご覧ください。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
金地二重蔓中牡丹唐草文金襴 前田家伝来 明時代・15世紀
金地一重蔓中牡丹唐草文金襴 前田家伝来 明時代・16~17世紀