東洋館 第10室
2009年1月27日(火) ~ 2009年4月26日(日)
東京国立博物館は、日本と東洋の美術工芸品や考古資料だけでなく、オセアニア、ヨーロッパ、アメリカ大陸に 関係した作品も多数所蔵しています。その中から今回は南米ペルーの土器を紹介します。これらの多くは、インカ文明以前の文化についてようやく研究が始まっ たばかりの明治時代から昭和初期にかけてご寄贈を受けたものです。
ペルー北部海岸地帯の壺には、口の付け根が二またで、馬具の鐙(あぶみ)のようになっている鐙壺(あぶみつぼ)があります。彩色鮮やかなモチーカ文化 (100~700年頃)の土器にも、一転して灰色になったチムー王国(850~1470年頃)の土器にも、鐙壺の形は引き継がれています。この地帯は、 15世紀になると南方から拡大してきたインカ帝国に征服されますが、その後もチムーの土器様式が生き続けました。また、土器に野生動物を形や色で表現する ことも多く、人々の自然に対する変わらぬ信仰を表しています。
古代アンデス文明が生み出した土器のさまざまな造形をお楽しみください。