このページの本文へ移動

蘭亭序

  • 『呉炳本蘭亭序(宋拓) 王羲之筆 原跡=東晋時代・永和9年(353)』の画像

    呉炳本蘭亭序(宋拓) 王羲之筆 原跡=東晋時代・永和9年(353)

    東洋館 第8室
    2008年3月4日(火) ~ 2008年5月6日(火・祝)

     永和9年(353)暮春の初め、王羲之(おうぎし)は会稽山陰(かいけいさんいん)(浙江省(せっこうしょ う))の蘭亭(らんてい)に名士を招いて詩会を催しました。せせらぎに浮かべた杯が流れ着く前に詩を賦し、詩ができなければ、罰として酒を飲む、文人ならではの雅宴です。その日、二篇の詩を成した者11人、一篇の詩を成した者15人、詩を成せず罰杯として酒を飲まされた者は16人でした。王羲之はその詩会で成った詩集の序文を揮毫(きごう)しました。これが、王羲之の最高傑作と賞賛される蘭亭序です。

      王羲之の書をこよなく愛した唐の太宗(たいそう)皇帝は臣下の蕭翼(しょうよく)に命じて、僧・弁才(べんさい)のもとから苦心惨憺(くしんさんたん)の末に蘭亭序を入手し、能書の臣下に臨書を命じました。欧陽詢(おうようじゅん)の臨書が迫真の出来ばえだったので、欧陽詢の臨本を石に刻し、その拓本を皇子、王孫、功臣に特賜しました。しかし、太宗は崩御に際して蘭亭序を殉葬させたため、蘭亭序の原本は伝存しません。

      南宋時代、蘭亭序の収集は過熱し、士大夫(したいふ)は家ごとに蘭亭序を石に刻したと言われます。拓本を元に新たな拓本が作られ、実にさまざまな蘭亭序の諸本が現れるようになりました。王羲之傑作の残影が後世に与えた影響はまことに計り知れず、蘭亭信仰とでも言うべき状況の中で、歴代の文人は善本を求 め、自らの理想とする蘭亭序像を思い描いてきたのです。

      この特集陳列では、宋時代の各種拓本や、その影響を受けた清時代の作例を展示いたします。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
ちょ模蘭亭序(宋拓)  王羲之筆 原跡=東晋時代・永和9年(353)  高島菊次郎氏寄贈
呉炳本蘭亭序(宋拓)  王羲之筆 原跡=東晋時代・永和9年(353)  高島菊次郎氏寄贈
定武蘭亭序(宋拓)  王羲之筆 原跡=東晋時代・永和9年(353)  高島菊次郎氏寄贈
独狐本蘭亭序(宋拓)  王羲之筆 原跡=東晋時代・永和9年(353)  高島菊次郎氏寄贈
国学本蘭亭序(旧拓)  王羲之筆 原跡=東晋時代・永和9年(353)  高島菊次郎氏寄贈
■台東区立書道博物館との連携事業

台東区立書道博物館 2008年3月1日(土)~5月6日(火・休)
蘭亭序とその関連資料を、東京国立博物館と台東区立書道博物館とで同時期に公開いたします。ぜひ両展示ともご覧ください。
 台東区立書道博物館のウェブサイト:http://www.taitocity.net/taito/shodou/
■関連事業

夜桜セミナー「王羲之と蘭亭序」
表慶館 対話の間 2008年3月21日(金) 18:30~19:30 (事前申込制) 受付終了
講師:台東区立書道博物館 鍋島 稲子 氏、東京国立博物館列品室長 富田 淳