このページの本文へ移動

拓本のたのしみ―明清文人の世界―

  • 『宋拓漢石経残字(部分)伝蔡邕筆 中国 後漢時代・熹平4年(175)』の画像

    宋拓漢石経残字(部分)
    伝蔡邕筆 中国 後漢時代・熹平4年(175)

    東洋館 8室
    2025年1月2日(木) ~ 2025年3月16日(日)

    本展示は台東区立書道博物館との連携企画第22弾として、書の拓本(たくほん)に注目します。書の資料には青銅器(金)・石碑等(石)に施された金石(きんせき)文字や、肉筆による歴代の名筆があります。これらの複製である拓本には、前者の金石拓本や、後者の名筆を版に刻して拓本にとり編集した法帖(ほうじょう)があり、碑拓(ひたく)法帖とも総称されます。

    唐時代(618~907)にはすでに碑拓が普及していたとみられ、宋時代(960~1279)には碑拓に加えて法帖の制作・鑑賞・研究が盛行しました。元(1271~1368)・明(1368~1644)を経て清(1616~1912)に至るまで、碑拓と法帖のいずれに重きを置くかは時代によって推移し、鑑賞・研究の水準は清時代に頂点に達したと言えます。

    碑拓法帖を手習いした臨書(りんしょ)や模本(もほん)、鑑賞記録として書きつけられた題跋(だいばつ)や印記(いんき)等の資料は、伝来はもとより、碑拓法帖の鑑賞・研究の実体を物語ります。なかでも、書画家や収蔵家としても名を馳せた明・清時代の文人たちによるこれらの資料は、比較的多く残され、当時の状況を今に伝えています。

    本展示では、碑拓法帖と明・清時代の文人による関連資料を展示し、書の拓本に魅せられた明清文人の世界を紹介します。両館の展示を通して、拓本に親しみ、楽しんでいただけますと幸いです。

    担当研究員の一言

    恒例となりました台東区立書道博物館との連携企画。今回は文人たちが楽しんだ書の拓本が主役です。白く抜かれた文字を文人はいかに味わったのでしょうか。両館でディープな世界をお楽しみください。/六人部克典

主な出品作品

(注)所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。

千福寺多宝塔碑 顔真卿筆 中国 唐時代・天宝11年(752) 高島菊次郎氏寄贈(~2025年2月2日)

十七帖 原跡:王羲之筆 中国 原跡:東晋時代・4世紀 江川吟舟氏寄贈(2025年2月4日~)

楷行草雑臨古帖巻 劉墉筆 中国 清時代・乾隆51年(1786) 高島菊次郎氏寄贈(2025年2月4日~)

城南雅集図巻 禹之鼎筆 中国 清時代・17世紀 高島菊次郎氏寄贈(~2025年2月2日)

晋唐小楷冊 原跡:王羲之他筆、石邦哲編 中国 原跡:東晋~唐時代・4~8世紀、編纂:南宋時代・12世紀 高島菊次郎氏寄贈(~2025年2月2日)

群玉堂米帖 原跡:米芾筆、韓侂冑編 中国 原跡:北宋時代・11~12世紀、編纂:南宋時代・12~13世紀 高島菊次郎氏寄贈(~2025年2月2日)

模九成宮醴泉銘冊 翁方綱摸 中国 清時代・乾隆56年(1791) 高島菊次郎氏寄贈(2025年2月4日~)

 

 

図録

拓本のたのしみ―明清文人の世界― 図録の表紙画像

拓本のたのしみ

ミュージアムショップにて販売中。

編集:台東区立書道博物館
編集協力:東京国立博物館、九州国立博物館
発行:公益財団法人 台東区芸術文化財団
制作・印刷:大協印刷株式会社
定価:1,900 円(税込)