東洋館 5室
2019年4月23日(火) ~ 2019年7月15日(月・祝)
青磁は、遥か3500年ほど前、商(殷)時代前期の灰釉陶(かいゆうとう)を起源とし、玉に優る深遠な美しさで人々を魅了してきた中国陶磁の本流です。
古来、中国からさまざまな文物を受容してきた日本には、龍泉窯(りゅうせんよう)青磁を中心に名だたる優品が数多くもたらされ、珍重されてきました。とくに江戸時代以降、茶の湯の世界では唐物を筆頭に道具の格付けがなされ、中国青磁は「砧(きぬた)」を最上級として細かく分類、評価されるようになりました。
このような歴史的背景のもとに培われた独自の鑑識眼に基づいて、20世紀初頭に陶磁器研究が世界的に熱を帯びると、日本では青磁研究が先進的に行われます。当館の蒐集活動は、その研究の歴史と密接にかかわっており、とくに大正・昭和期を代表する蒐集家横河民輔(よこがわたみすけ、1864~1945)の一大コレクションの寄贈は、東京国立博物館の蒐集と研究の礎となりました。
今回は、明治から平成までおよそ150年のあいだに東京国立博物館が蒐集した中国青磁のなかから選りすぐりの名品を展示いたします。当館の蒐集と研究の軌跡をたどりながら、青磁を通して日本人独特の美意識や鑑識眼にふれていただきます。