本館 14室
2012年5月15日(火) ~ 2012年7月29日(日)
青磁は東洋独特のやきものです。窯を使って素焼きの土器を焼成する際に、燃料の灰が器物の表面に降りかかるとガラス化して自然釉(しぜんゆう)を形成します。この現象に着目して、中国では早くも商時代前期(紀元前16世紀頃)に人工的に釉薬(ゆうやく)を施したやきものの生産が始まりました。灰釉(かいゆう)とよばれるこの釉薬が改良を重ね、むらなくなめらかで青い色を呈しているのが青磁なのです。
青磁は後漢(ごかん)時代に成熟の水準に到達しました。これより元時代までの中国陶磁史は青磁を軸に展開したといっても過言ではありません。青磁は価値観の上でも頂点に位置し、宋時代には官窯(かんよう)が置かれて宮廷向けの青磁が焼かれました。
青磁の技術はやがて近隣諸国へと伝わります。とくに朝鮮半島において高麗(こうらい)時代(918~1392)に高度の発達を遂げ、独特の透明感をたたえた青磁は「翡色(ひしょく)」の名で賞賛されました。
青磁の青い色は、何か特殊な成分が加えられたことによる発色ではありません。胎土や釉薬に含まれる微量の鉄分が、窯の中で酸素の供給が制限された状態で焼成されることにより呈する色です。青磁は色や艶に産地や時代の特色があらわれます。この特集では中国、朝鮮、ベトナム、タイ、そして日本の青磁を一同に展示いたします。各地で独自の発達を遂げた青磁の美をお楽しみください。