国宝 古今和歌集(元永本)上帖(部分)
平安時代・12世紀 三井高大氏寄贈
本館 2室
2025年4月15日(火) ~ 2025年5月11日(日)
本作品は、日本最初の勅撰和歌集『古今和歌集』が書写された調度手本です。調度手本とは、貴族間の贈答用につくられた、鑑賞を目的とする本のことをいいます。「元永三年七月廿四日」と書き入れがあることから「元永本」と呼ばれます(元永3年は1120年)。上下2巻からなる、綴葉装の冊子本です。
見どころは、その精緻をきわめた料紙(書き物をする際に用いる紙のこと)の装飾です。和製の唐紙に着色と具引き(貝の粉末を溶かした液を紙に塗ること)をほどこし、表には唐草・菱・亀甲などの型文様を雲母で摺り出し、裏には金銀の砂子や切箔・野毛などを撒いています。筆者は三蹟の一人藤原行成の曾孫である定実(~1077~1119~)と推定されており、流麗な筆遣いと文字の配置が料紙の装飾と調和しています。
『古今和歌集』は延喜5年(905)醍醐天皇の命により編纂がはじまり、多くの写本が伝わります。その中でこの「元永本」は、『古今和歌集』全20巻が揃う日本最古の写本であり、国文学においても大変貴重です。江戸時代、尾張徳川家、そして加賀前田家のもとを経て、昭和45年(1970)に東京国立博物館の所蔵となりました。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 古今和歌集(元永本) 上帖 | 1帖 | 平安時代・12世紀 | 三井高大氏寄贈 B-2814-1 |