国宝 法華経 譬喩品(久能寺経)(部分)
平安時代・12世紀
本館 2室
2023年8月29日(火) ~ 2023年10月1日(日)
静岡・久能山にあった久能寺(現在の鉄舟禅寺)に伝わったため、「久能寺経」と呼ばれます。『法華経』一品経(いっぽんぎょう)28巻と、開経(かいきょう)『無量義経(むりょうぎきょう)』、結経(けちきょう)『観普賢経(かんふげんきょう)』を合わせて、もとは全30巻ありました。一人が一巻を担当して合計30人で制作し極楽往生を願った結縁経(けちえんきょう)です。各巻の巻末に記された結縁者(その巻の制作を担当した人)の名前から、鳥羽法皇(1103~56)と、皇后・待賢門院璋子(1101~45)、女御・美福門院得子(1117~60)の周辺で作られたことがわかります。
ぼかし染めをした染紙を使用し、金銀の切箔や銀の芒(のげ)まで散りばめられ、銀泥で鳥や草などの下絵が描かれています。金泥で引かれた界線(罫線)に書写された経文は、能書の家系である世尊寺家(せそんじけ)当主の藤原定信(1088~1154~?)によるものです。定信の書の特徴である右肩上がりの筆致がよく表れています。当時は、願いを込めるほど経巻を飾り立てました。そのような装飾経の貴重な遺品です。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 法華経 譬喩品(久能寺経) | 1巻 | 平安時代・12世紀 | 静岡・鉄舟禅寺蔵 |