本館 16室
2010年1月19日(火) ~ 2010年3月7日(日)
明治5年(1872)に創設された文部省博物館(後の東京国立博物館)は、明治政府のもと、新たなスタートを切った国家の近代化のための知識や技術を収納し、供給する施設として期待をされていました。そのために、博物館は作品などの現物資料の収集とともに、先進的な自然科学や産業技術を伝える欧米の書籍の収集に取り組みました。特に文部省(1872-75)、内務省(1875-81)、農商務省(1881-86)と所管官庁がうつりかわった「初期博物館」とも言うべき時代には、動植物学、鉱物学、農学、工学などの書籍が集中的に集められました。
現代のような情報流通がない時代に、外国から図書を入手することはきわめて困難でした。1873年のウィーン万国博覧会の折に、博覧会事務局が入手した書籍の引き継ぎ、外国の博物館との交換、業務で出張する官吏に委託しての購入、当時の博物館幹部自身の蔵書からの寄贈など、さまざまなルートを通じて収集を図りました。
今回の展示では、明治前期における博物館の、洋書収集を通じた様々な知識獲得の努力を、実際に収集した洋書の数々を通して紹介します。