本館 特別1室
2015年2月17日(火) ~ 2015年3月15日(日)
この特集は、当館の保存修復事業の成果の一端として、修理を終えた作品を展示します。修理のポイントや工程、その過程で得られた情報を紹介する企画で、今年度で15回目を迎えました。
当館では、文化財の公開と保存を両立し、未来へと伝えるため、以下の3つを柱とする臨床保存の理念のもと、保存修復事業を行なっています。それは、文化財の状態および展示室や収蔵庫の環境に関する「調査・診断」、その結果に基づいて展示・収蔵などの環境の整備を行なう「予防保存」、折れの緩和や剥落(はくらく)止めなどの応急的な対症修理から、解体を伴う抜本的な安定化のための本格修理まで状況に応じた修理を行なう「修理保存」の3つからなります。
今回は、絵画、刀剣、陶磁、漆工、考古、東洋書跡、東洋陶磁、東洋漆工のほか、館史資料の分野から本格修理品として16件、図書資料から対症修理品として8件、さらに、本館2室(国宝室)での檜図屏風の展示と連携し、唐紙(からかみ)制作のために宮内庁京都事務所から借用した版木(はんぎ)や、その版木で摺った実物の唐紙なども展示いたします。
本特集が、文化財の保存と公開に携わる当館の取り組みや、文化財の修理に関心を持ち、それらを介して文化財とその背後にある文化や歴史に、理解を深める一助となれば幸いです。