平成館 企画展示室
2012年6月5日(火) ~ 2012年7月29日(日)
高名な画家の娘、または妻としてその影響を受けながら、あるいは自らの生きる道として絵筆を執った日本の女性画家たち。本特集陳列では、当館の所蔵品から近世近代に活躍した女性画家の作品を初めて一堂に展示し、狩野派絵師、文人画家、浮世絵師、洋画家と多様な彼女たちの生涯とあわせて紹介いたします。
女性の記録がほとんど残されていない近世以前の女性画家については不明なことも多いのですが、久隅守景の娘・清原雪信(きよはらゆきのぶ)、池大雅の妻・池玉瀾(いけのぎょくらん)、葛飾北斎の娘・葛飾応為(かつしかおうい)などは現存作例が多く、また家族の記録からもその様子を知ることができます。「~の娘」「~の妻」として紹介することは先入観を差し挟んでしまうことになるかもしれませんが、家族の存在が彼女たちの画家としてのアイデンティティの一面であったことは否定できません。
一方、奥原晴湖(おくはらせいこ)、跡見花蹊(あとみかけい)、野口小蘋(のぐちしょうひん)など幕末近代の女性画家たちからは、激動の時代に独立して女性の活躍の道を切り開こうと模索した、しなやかで力強い勢いを感じることができます。ラグーザ玉は国際結婚により渡欧しますが、イタリア画壇において評価され業績をおさめました。
目指した画風、日常の生活など、画家のタイプはさまざまです。紹介する12人の姿に現代の女性、そして男性も共感いただけるところがあれば幸いです。
担当研究員の一言
今回は女性研究員による企画ということもあって、準備中は女性画家のことを調べるにつれ、自己投影したり、共感したりということがたくさんありました。その気持ちは「女性画家タイプ診断」にも込めていますので、ぜひ展示とあわせてお楽しみいただけましたら幸いです。/瀬谷愛調べ始めてみると、思っていたより多くの女性画家たちが活動していたことがわかり、同じ女性として心強く感じました。それぞれの画家の言葉や、周囲の証言など「女性画家タイプ診断」にて紹介しています。彼女たちの人生にもご興味を持っていただけますとうれしいです。/安藤香織