毎年恒例の「新指定展」。今年は何が出るのか、心待ちにされている方も多いのではないでしょうか。
今年も新たに彫刻2件が国宝に、また、絵画8件、彫刻7件、工芸品4件、書跡・典籍4件、古文書5件、考古資料6件、歴史資料9件の計46件が重要文化財の指定を受けることになりました。
特集「平成27年 新指定 国宝・重要文化財」(2015年4月21日(火)~5月10日(日) 本館8室・11室)にて、これら46件を展示します(写真パネルのみの展示含む)。
※絵画、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料、歴史資料は本館8室、彫刻は11室で展示します。
詳しくは、展示作品リストをご覧ください。
ここでは、国宝に指定された2件をはじめ、主な作品を紹介いたします。
国宝 木造虚空蔵菩薩立像 平安時代・9世紀 京都・醍醐寺蔵
当館に寄託されているので、展示室でご覧になったことがあるかもしれません。
これまでは聖観音菩薩立像とされていましたが、最近の研究で虚空蔵菩薩像として伝えられていたことがわかりました。
こうした新知見もふまえて国宝に指定されることになりました。
国宝 木造弥勒仏坐像 平安時代・9世紀 奈良・東大寺蔵
東大寺法華堂伝来の弥勒仏です。高さ39cmと小さな像とは思えない雄大な造形により「試みの大仏」(大仏を造るにあたっての試作品)とも呼ばれています。
平安時代前期の彫刻の名作として国宝に指定されました。
重要文化財 色絵竜田川文透彫反鉢 尾形乾山作 江戸時代・18世紀 神奈川・岡田美術館蔵
尾形乾山が得意とした反鉢といわれる器形の内外に、古くから紅葉の名所として和歌に詠まれてきた竜田川をモチーフに描いています。
乾山の色絵の代表作として貴重です。
重要文化財 法隆寺金堂壁画写真ガラス原板 昭和10年(1935) 奈良・法隆寺蔵
昭和10年(1935年)に、文部省法隆寺国宝保存事業部の事業として撮影された原寸大分割写真原版です。
後の模写作成の基礎資料として活用されるほど精緻で、高品質であるため、その学術的価値が評価されました。
後世に伝えるべく新たに加わった国民みんなの宝。
この機会に改めて日本の歴史や文化について、考えてみませんか。
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posted by 奥田 緑(広報室) at 2015年04月21日 (火)
「博物館でお花見を」期間中、館内にピンク色のポストが設置されたことに、お気づきでしょうか。
桜が見頃を迎えるこの時期に、庭園や作品の桜をテーマに「東博句会 花見で一句」を開催中。こちらの投句ポストで、応募俳句の受付をしています。
投句ポストは、本館エントランス、本館1階ラウンジ、庭園内応挙館の3カ所。
投句ポストのふたを上げると、応募用の投句用紙が入っています。
毎年たくさんのご応募をいただいている東博句会。開催6年目を迎える今年度は、本館1階ラウンジ横で、過去5年間分の入選作品もご紹介しています。
今回から、「一般の部」「小学生以下の部」にわかれ、俳号でもご参加いただけるようになりました。ご応募いただいた作品のなかから、館長賞、副館長賞、桜賞を選出し、入選作品は博物館ニュースとウェブサイトで発表します。
どうぞ、お気軽にご参加ください。
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posted by 長谷川暢子(教育講座室) at 2015年04月03日 (金)
「博物館でお花見を」の会期も後半に入りました。
庭園の桜も先週から徐々に咲き始め、今週初めには満開の見ごろを迎えました。
エドヒガン(左)と、庭園入口のミカドヨシノ(右)
春らしい気温となった3月27日(金)の夜間開館日には、庭園の桜ライトアップが行われ、多くのお客様が夜桜見物に訪れました。
ライトアップされたヤエベニヒガン(左)と茶室転合庵(右)
お天気が少々心配ですが、明日4月3日(金)も桜ライトアップが行われます(19:30まで)。
庭園ではカフェも18時まで営業(ラストオーダーは17:45)していますので、夜桜を眺めながら温かい飲み物でおくつろぎいただけます。
18時からは茶室・転合庵前でシタールのコンサートも行われます。
「作品鑑賞や庭園散策で腹ぺこ!」という方には、建物も美しくライトアップされている前庭の屋台や、構内のレストラン(ゆりの木、ホテルオークラガーデンテラス)もご利用ください。
(ラストオーダーは屋台が19:30、レストランが19:20。屋台は、天候により中止、または途中で閉店する場合もあります)
ライトアップされた表慶館と屋台
週末は桜セミナーやぬりえワークショップ、コンサートなど当日参加OKのイベントもあります。
また、特別展「みちのくの仏像」もいよいよ4月5日(日)で会期終了となります。
上野公園は大賑わいですが、トーハクでは少しゆったりと桜をお楽しみいただけると思います。
ぜひ、お出かけ下さい。
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posted by 奥田 緑(広報室) at 2015年04月02日 (木)
早いもので、平成館も建ってからすでに15年が経ちました。
外からちょっとみただけでは気づきませんが、マンションなんかでも10~12年したら、大規模修繕をしなければならないことからもわかるように、平成館も空調や照明などがだいぶ傷んでおりました。
そこで昨年12月の「日本国宝展」と月例講演会を最後に、平成館を一時休館して、4ヵ月ほどかけて改修工事を進めてまいりました。
その間は皆さまにも、いろいろなご不便をおかけしましたが、ようやく4月4日(土)の講演会を皮切りに、まずは大講堂が復活いたします。
わたしがおります教育講座室は、講演会やイベントなどを担当する部署です。
平成館休館中の講演会は、お隣の東京文化財研究所で地下のセミナー室をお借りして開催してまいりました。
お越しになられた方はよくご存知でしょうが、大変きれいな施設です。
ただ、当館の大講堂の定員が380名であるのに対して、仮設のいすを加えても120席ほどしかありません。
いくつかの講演会では大変申し訳ないことに、聴講を希望されたかた全員にはお入りいただけないことがありました。
またスタッフとしても慣れない会場ということもあり、様々な点で行き届かない面もあったかと存じます。
お詫び申し上げます。
東京文化財研究所セミナー室での月例講演会の様子
そんななかで、ある講演会でちょっと嬉しくなるようなできごとがありました。
ぜひ皆さまにも知っていただきたいと思い、ここにご報告させていただきます。
それは2月24日(土)に行った、檜図屏風の修理に関する講演会でした。
国宝の名品ということもあり、おそらくは全員にお入りいただけないだろうと予想して、あらかじめ整理券を120枚用意しておりました。
120枚目の整理券を受け取られたのは初老の男性でした。
そして、その最後の1枚を渡し終えた直後に来られたのが、学生風の若い女性でした。
彼女に、残念ながらもうお入りいただけない旨をお伝えしていたところ、初老の男性からご自身の券を譲るとのお申し出がありました。
男性は彼女に券を渡すと「若い人が聴いたほうがいいよ。上野の山には見るところがいっぱいあるので、自分はそっちをまわって帰るから」と言って、にこやかな笑顔で去っていかれました。
お名前をうかがうまもなく、しっかりとお礼も申し上げられなかったので、この場を借りてお礼申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。
わたしもぜひ先輩のような、よい歳のとり方をしたいな、とあらためて決意した次第です。
新しくなった大講堂での講演会第1弾は、4月4日(土)開催の桜セミナー「富士とサクラの絵画」。
先着順で380名まで聴講いただけます。
皆様のご来館をお待ち申し上げております。
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posted by 淺湫毅(教育講座室長) at 2015年03月30日 (月)
特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」開幕
特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」、いよいよ本日開幕です。
これに先立ち、昨日16日、開会式・内覧会が行われました。
開会式では、本展覧会でインド仏像大使に就任し、オリジナルグッズの開発など展覧会を力強く応援してくださっている、みうらじゅんさん、いとうせいこうさんも加わり、にぎにぎしくテープカットが行われました。
開会式テープカットの様子
天気予報では午後から雨かとも言われておりましたが、幸いにもお天気はもち、内覧会の観覧者が1000人を超す大賑わいぶりでした。
内覧会の様子
インド東部の大都市コルカタ(旧カルカッタ)に所在するコルカタ・インド博物館は、1814年に創立したアジア最古の総合博物館。そのコレクションの中から、初期仏教美術を代表するバールフット遺跡の出土品、仏像誕生の地であるガンダーラやマトゥラーの仏像、インドで発生し、中国を経て日本にももたらされた密教の仏像などを厳選。本展はインド仏教美術のあけぼのから1000年を超える繁栄の様子を紹介する展覧会です。
コルカタ・インド博物館
展示される像やレリーフ、ストゥーパは、ほとんどが石製。初期仏教美術の素朴にして野趣あふれる表現、ガンダーラ仏の精緻な彫技、密教尊の妖しげな微笑。時代や地域により、その表情は異なります。
石の材質や色もまたさまざま、しかしその色や質感が、とても美しいのです。
弥勒菩薩坐像 ロリアン・タンガイ出土 クシャーン朝(2世紀ごろ) コルカタ・インド博物館蔵
Photograph (c)Indian Museum, Kolkata
この特別展は、久しぶりに表慶館を展観会場として行われます。
表慶館はご存知のとおり、明治42年(1909)に開館した建物。中央と左右に美しいドーム屋根をいただき、上層部の外壁面のレリーフや床のモザイク状のタイルなど、随所に趣のある明治末期の洋風建築で、重要文化財に指定されています。
それぞれの部屋はこじんまりとしていますが、中央ホールの左右に、小部屋が左右均等になっています。本展の1階中央からスタートして、2階を経て再び下階へと戻る流れは、インド仏教美術作品の展示に、しっくりなじんでいるように思われます。
かつてコルカタ・インド博物館を訪れたことのある私としては、同博物館がトーハクに再現されたような感をも抱きました。
表慶館 外観と中央エントランスから見た展示室
桜の花に囲まれた上野で、あなたをきっと、時空を超えたインドへのジャーニーに誘ってくれることを、お約束します!
Don't stop believing! 「インドの仏」、絶賛開幕中です。
カテゴリ:news、2015年度の特別展
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posted by 伊藤信二(広報室長) at 2015年03月17日 (火)